ホームページ制作を依頼する前に準備すべきこと|素材より先に整える「目的」の話

  • -
    コピー
アイキャッチ

ホームページ制作の準備で、最初に手をつけるものを想像してみてください。

多くの方が「まず会社のロゴデータを探そう」「掲載する写真を撮らなきゃ」「載せる文章を書き起こそう」と考えます。

けれど、いちばん最初にやるべきなのは、写真やロゴを揃えることではありません。

「なぜ、そのホームページを作るのか」を、自分の言葉にすることです。

先に言っておきたいことがあります。

この準備が完璧に整っていなくても、相談して大丈夫です。

素材が一つも用意できていなくても、目的がぼんやりしていても、その状態のまま持ってきていただければ、そこから一緒に整理していけます。

もう一つ、正直にお伝えしておきます。

私はホームページ制作を請け負う側の人間です。

ですから、この記事にも「制作を頼んでほしい」という下心がゼロだとは言いません。

そのうえで、営業トークではなく実務の話としてお読みいただければと思います。

なぜ「言葉」から準備すべきなのか、根拠になるデータがあります。

アルサーガパートナーズの「ホームページ制作の実態調査」(2025年公開、回答者550名)によると、ホームページ制作を外注した経験がある人の87.7%が、何らかの失敗を経験していました。

その失敗の内容で2番目に多かったのが、「要望が適切に伝わらず、思い通りの結果にならなかった」で29.1%にのぼります。

ちなみに1位は「予算を大幅に超過した」で32.1%、3位は「期待していたデザインと大きく異なった」で28.4%でした。

上位の失敗の多くが、素材の不足ではなく、意図が伝わらなかったことに起因しています。

だからこそ、準備すべきは写真やロゴという「素材」よりも先に、なぜ作るのかという「言葉」なのです。

この記事では、その「言葉」を起点にした準備の手順を、順を追ってお伝えします。

なお、問い合わせから公開までの時系列の流れそのものを知りたい方は、ホームページ制作を依頼する流れ|問い合わせから公開まで発注者がやることをご覧ください。

この記事はあくまで「事前にやっておく準備」に絞ってお話しします。

準備には順番がある。素材の前に「目的」から

準備には順番がある。素材の前に目的から

ホームページ制作の準備には、正しい順番があります。

先に手をつけるべきなのは、写真や原稿ではなく「目的」です。

なぜ順番が大切なのかというと、上流でつまずいたまま下流を進めても、後から全部やり直しになるからです。

準備を上流から下流に並べると、こうなります。

まず、目的です。

なぜ作るのか、何を解決したいのかを決めます。

次に、ターゲットです。

そのホームページを、誰に届けたいのかを考えます。

そして、伝えるメッセージです。

その相手に何を伝えれば、動いてもらえるのかを言葉にします。

最後に、必要な素材です。

そのメッセージを届けるために、どんな写真や文章が要るのかが、ここで初めて決まります。

もし素材から準備を始めてしまうと、何のための写真なのか、誰に向けた文章なのかが抜け落ちます。

きれいな写真をたくさん撮ったのに、伝えたい相手に響かない、という事態が起きます。

これは、手段が目的化してしまった状態です。

写真や文章はあくまで手段であって、目的そのものではありません。

ですから、「写真がないから依頼できない」と足踏みする必要はありません。

むしろ危ないのは、目的が言葉になっていないまま作り始めることです。

素材はあとから足せますが、目的のズレは作り直しでしか直せません。

「古いから新しくしたい」の奥にある本当の目的

「古いから新しくしたい」の奥にある本当の目的

ここが、この記事でいちばんお伝えしたい部分です。

発注者が口にする「目的」と、本当の目的が食い違っていることは、実際の現場でよく起こります。

以前、あるお客様から「デザインが古いから新しくしたい」というご相談をいただきました。

最初は、見た目を今風に整えれば済む案件だと思いました。

けれど、お話を掘り下げていくと、本当の悩みは別のところにありました。

「サイトを持っているのに、問い合わせが増えていない」

つまり、デザインの古さではなく、集客できていないことが本当の課題だったのです。

ここで作るべきサイトは、まったく別物になります。

もし目的が「見た目の刷新」なら、デザインをきれいに作り替えれば達成できます。

けれど目的が「問い合わせの創出」なら、話は変わります。

訪問者を問い合わせまで運ぶ導線、押したくなるボタンの配置、検索で見つけてもらうためのSEO、情報の並べ方そのものを設計し直す必要があります。

同じ「作り直したい」でも、目的が違えば、成果物はここまで変わります。

だからこそ、本当の目的を掘り当てておくことが、準備の中心になります。

自分でも掘り下げられるように、3つの問いをご紹介します。

一つ目は、「なぜ、今、作る(作り直す)のか」です。

なぜ去年でも来年でもなく今なのかを考えると、背景にある事情が見えてきます。

二つ目は、「もし作らなかったら、半年後や1年後にどうなっていると困るのか」です。

放置した先の困りごとを想像すると、避けたい未来がはっきりします。

三つ目は、「公開して、最初に変わってほしい数字は何か」です。

問い合わせの件数なのか、採用の応募数なのか、電話の本数なのか。

動かしたい数字が決まると、目的が具体的になります。

ここまで読んで、「目的くらい、自分で分かっている」と感じた方もいるかもしれません。

その感覚は、まったく正しいです。

経営者の方は、事業への思いも、やりたいことも、ちゃんと持っています。

ただ、それを「制作者に伝わる言葉」へ変換するのが、少し難しいだけなのです。

頭の中にあるものと、相手に届く言葉のあいだには、いつも隙間があります。

その隙間を埋める作業は、一人で抱え込まなくて大丈夫です。

言語化そのものを、一緒にやっていけます。

完璧に整理を済ませてから来ていただく必要はありません。

準備するものリスト(必須・あると加速・後でOK)

準備するものリスト(必須・あると加速・後でOK)

ここまでで、準備の起点が目的にあることをお伝えしました。

理由は繰り返しませんので、さっそく「では具体的に何を準備するのか」を仕分けしていきます。

先にお伝えしておくと、これから挙げるものを全部揃える必要はありません。

揃っていないものがあっても、相談はできます。

大切なのは、どれが最初に要るもので、どれが後回しでいいのかを、見分けることです。

3段階に分けて整理します。

分類準備するもの補足
必須(無いと始めにくい)目的 / 予算感 / 公開の希望時期 / 社内の窓口を1人決める目的は前のセクションで掘ったもの。予算は上限とだいたいの優先順位。体制は意思決定できる人を1人
あると一気に進むターゲット像 / 参考サイト数点 / 自社の強み / 載せたいページの当たり / 現サイトの不満点参考サイトは好きな例と避けたい例を理由つきで。ページの当たりはサイトマップの種になる
後から送れる(無くても相談可)写真・画像 / 原稿テキスト / ロゴデータ無ければ制作側で相談・手配・代行もできる

必須の欄から見ていきます。

まず目的です。

これは前のセクションで掘ったものを、そのまま持ってきていただければ十分です。

次に予算感です。

きっちりした金額でなくてかまいません。

上限はいくらくらいか、何を優先したいか、そのくらいの感覚があれば話が進みます。

そして公開の希望時期です。

「新年度に間に合わせたい」「特に急がない」でも、判断材料になります。

最後に、社内の窓口を1人決めておくことです。

複数の担当者から別々の要望が届くと、方向性が定まらず制作が遅れます。

最終的に意思決定できる方を1人立てておくと、進行がぐっとスムーズになります。

次に、あると一気に進むものです。

ターゲット像、つまり誰に届けたいサイトなのかがあると、設計の精度が上がります。

参考サイトも役立ちます。

好きなサイトと、避けたいサイトを、それぞれ数点、理由つきで挙げてください。

「このシンプルさが好き」「この派手さは自社に合わない」という言葉が、デザインの方向性を早く固めます。

自社の強みや伝えたい情報、載せたいページの箇条書きも、あると進みが速くなります。

会社概要、サービス、実績、問い合わせといったページ名を並べたメモは、そのままサイトの骨組みの種になります。

リニューアルであれば、今のサイトの不満点も貴重な材料です。

最後に、後から送れるものです。

写真や画像、原稿テキスト、ロゴデータは、この段階で揃っていなくても相談できます。

もし手元になければ、制作側で撮影を手配したり、文章を整えたり、ロゴがない場合の対応を一緒に考えたりもできます。

ここが揃わないことを理由に、相談を先延ばしにする必要はありません。

予算について、相場の目安にも触れておきます。

ランディングページ(1枚ものの縦長ページ)は、一般的な制作会社の料金を見比べると、10万円から50万円前後が一つの目安とされます。

コーポレートサイト(5ページから10ページ程度)は、30万円から150万円前後が目安とされます。

ただし、これは規模や要件によって大きく変わる数字です。

搭載する機能やページ数、撮影やライティングの有無で、金額は上下します。

費用の詳しい内訳については別の記事に譲りますので、ここでは全体像だけつかんでいただければ十分です。

予算をどう用意するかという点では、補助金や助成金が使えることもあります。
ただし申請すれば通るものではないので、当てにしすぎない前提での考え方をホームページの補助金・助成金まとめにまとめています。

どこまでが発注者の準備で、どこからがプロの仕事か

どこまでが発注者の準備で、どこからがプロの仕事か

ここまで読んで、こんな疑問が浮かんだかもしれません。

「これも自分で準備するの。それならプロに頼む意味は」

もっともな疑問です。

正面からお答えします。

発注者が準備するのは「完成品」ではなく「たたき台」です。

きれいに整った資料を作ってくる必要はありません。

役割を3つに分けて整理します。

分類内容
経営者にしか決められない事業の目的 / 何を強みとして打ち出すか / 最終的な意思決定
一緒に決めるサイトの構成 / デザインの方向性 / 目的の言語化そのもの
プロに任せていい情報設計・デザイン・実装 / SEOや導線の設計 / 原稿の整え・撮影の手配 / 見せ方の工夫

経営者にしか決められないことは、限られています。

事業の目的、何を強みとして打ち出すか、そして最終的な意思決定です。

ここは、外の人間が代わりに決められません。

一緒に決めることも、あります。

サイトの構成、デザインの方向性、そして目的を言葉にする作業です。

これらは、発注者とプロが対話しながら固めていきます。

そして、プロに任せていい領域は広いです。

情報の設計、デザイン、実装はもちろん、SEOや導線の設計、原稿の整え、撮影の手配、見せ方の工夫まで含まれます。

つまり、発注者に求められる準備は、ざっくりした課題感で足ります。

「なんとなく集客がうまくいっていない」「この強みを伝えたい」という、たたき台の状態でかまいません。

それを形に整えていくのが、プロの仕事だからです。

見落としがちな「守り」の準備。サーバーとドメインは自社名義で

見落としがちな守りの準備。サーバーとドメインは自社名義で

最後に、多くの方が見落とす準備をお伝えします。

サーバーとドメインは、自社の名義で契約してください。

これは攻めではなく、守りの準備です。

制作会社の名義で契約すると、後から別の会社に乗り換えたいときに手続きが滞りやすくなります。

サーバー会社によっては、そもそも第三者への契約譲渡を認めていない場合もあり、あとから名義を移せないこともあります。

これは誰かを責める話ではなく、契約の構造がそうなっているというだけの話です。

名義は自社に置いた上で、制作会社には作業の代行として関わってもらう形が安全です。

自分の契約が今どうなっているかの確認手順や、すでに制作会社名義になっていた場合の進め方は、ホームページのサーバーとドメインは自社管理にしてくださいで詳しく書いています。

そして、公開後に「誰が更新するのか」を決めておくことも、準備の一部です。

これを決めずに作ってしまうと、公開後に誰も手を入れられず、情報が古いまま放置されがちになります。

社内に更新する人がいない場合の運用については、Web担当者がいない会社のホームページ運用術で詳しくお話ししています。

よくある質問

写真も原稿も何も用意できていませんが、それでも依頼できますか。費用は変わりますか。

依頼できます。
写真や原稿が手元になくても、相談から始められます。
撮影の手配や文章の作成を制作側で代行する場合、その分の費用は追加されますが、あらかじめ見積もりの段階でお伝えします。
素材がないことを理由に、相談をためらう必要はありません。

目的がはっきりしていないのですが、相談してもいいですか。

もちろん大丈夫です。
むしろ、目的の整理から一緒にやるのが自然な流れです。
「なんとなく作り直したい」「集客がうまくいっていない気がする」という段階で持ってきていただければ、そこから言葉にしていけます。
完璧に整理してから来る必要はありません。

サーバーやドメインは自分で契約すべきですか。業者に任せるリスクは。

自社名義での契約をおすすめします。
契約は自社名義で行い、業者には作業の代行として関わってもらうと安全です。
理由と具体的な手順はホームページのサーバーとドメインは自社管理にしてくださいにまとめています。

新規制作とリニューアルで、準備することは変わりますか。

基本の準備は同じです。
目的、ターゲット、予算感、体制という土台は、どちらでも変わりません。
リニューアルの場合は、これに加えて「今のサイトの不満点」と「現在の名義や契約状況」を確認しておくと、話が早く進みます。
今のサイトの何を残し、何を変えたいかが、そのまま設計の材料になります。

まとめ

ホームページ制作の準備で、最初にやるべきことをもう一度お伝えします。

写真やロゴを揃えることではなく、「なぜ作るのか」を言葉にすることです。

素材は後から足せますが、目的のズレは作り直しでしか直せません。

そして、その目的も、完璧に言語化してから連絡する必要はありません。

「古いから新しくしたい」の奥に、本当は「問い合わせを増やしたい」という願いが隠れているように、目的は掘り下げてはじめて見えてくることが多いです。

その掘り下げも、一人で抱え込まず、一緒にやっていけます。

いきなり見積もりを取る前に、まずは目的の整理から始めましょう。

今ある課題感を、整った資料にする必要はありません。

「なんとなくうまくいっていない」「この強みを伝えたい」という、ざっくりした状態のまま持ってきてください。

そこから一緒に、形にしていきます。

ご相談は、お問い合わせフォームからお気軽にどうぞ。

この記事を書いた人

宮地 健太朗

Web制作・運用を中心に、
中小企業・個人事業主のWeb活用を支援しています。

現在は、東京のWebマーケティング会社にてエンジニアとして参画し、サイト制作・運用改善・業務効率化などを担当しています。

単なる制作にとどまらず、
「どうすれば使われ続けるか」「どう改善すれば成果につながるか」を重視し、実務に即した提案と実装を行っています。

専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明しながら、
一緒に考え、継続的に改善していくことを大切にしています。