最初に、私の立場をはっきりさせておきます。
私はホームページを作る側の人間です。
発注が早いほど、私の売上になります。
だから私が「補助金なんて待たずに作りましょう」と書けば、それはそのまま私に都合のいい話になります。
その前提で読んでください。
そのうえで書きますが、私は補助金を否定する立場ではありません。
使える制度があるなら、使ったほうがいいと思っています。
補助率2/3の制度が通れば、同じ手出しで作れるものの中身が変わります。
それは事業者にとって普通に得です。
ただ、私は補助金を前提にしたホームページ制作の相談を2件受けました。
結果は2件とも不採択でした。
片方は制作そのものを諦め、もう片方は2026年7月の今も1ページも存在していません。
制度の一覧や申請手順は、検索すればいくらでも出てきます。
この記事で書きたいのはその先です。
申請してから結果が出るまでの空白の期間に何が起きるのか。
そして落ちたときに、何をどう決めるのか。
そこを書きます。
結論:使える制度はあります。ただ、作るかどうかを補助金に決めさせないでください

先に事実の結論から書きます。
1つ目です。
IT導入補助金(2024年度以降は「デジタル化・AI導入補助金」に改称)で、ホームページは作れません。
サブキーワードで検索してこの記事にたどり着いた方には申し訳ないのですが、ここははっきりしています。
2つ目です。
ホームページ制作で現実的に使える公的支援は、小規模事業者持続化補助金と、お住まいの自治体が出している助成金の2本立てになります。
ただし持続化補助金のほうは、ホームページの制作費だけでは申請できません。
販路開拓の取り組み全体の一部として申請する形になりますので、サイトだけを作りたい方は自治体の助成金から探すことになります。
3つ目です。
その持続化補助金は、2026年7月21日時点では公募が休止しています。
第19回の受付は2026年4月30日で終了し、次の第20回は2026年11月5日からの受付予定です。
つまり今日の時点で「持続化補助金を使ってホームページを作ろう」と考えても、申請すらできません。
ここからが主張の結論です。
補助金は、支払い方の話です。
作るかどうかを決める話ではありません。
私のところに相談に来る時点で、あなたはもう「ホームページが必要だ」と判断しているはずです。
問い合わせが来ない、名刺代わりのページがない、求人に出しても会社の情報が出てこない。
そういう困りごとがあるから調べているのだと思います。
その困りごとは、補助金が採択されようが不採択になろうが、まったく同じ量そこに残ります。
補助金は「その困りごとを解消するのにいくら手出しするか」を変えるだけです。
にもかかわらず「補助金が通ったら作る」と決めてしまうと、事業の判断を、自分の外側にある審査結果に預けることになります。
私が見てきたのは、その預けた時間が返ってこなかったケースでした。
ホームページに使える補助金・使えない補助金

制度の説明はここで一度まとめますが、網羅はしません。
制度の全条件を並べた記事はすでに世の中にたくさんありますし、条件は毎年変わります。
ここでは、あなたが今日「自分は使えるのか、使えないのか」を判断できる最小限だけ書きます。
IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)ではホームページは作れません
まずここでつまずく方がとても多いです。
この制度は、事務局にあらかじめ登録されたITツールの導入費を補助するしくみになっています。
予約システム、会計ソフト、受発注システムといった、業務そのものをデジタル化するツールが対象です。
そして公募要領には「広告宣伝を目的としたホームページ制作等は補助対象外」とはっきり書かれています。
さらに、以前は対象になりえたECサイトの新規制作費も、2024年度の制度改定以降は対象外になりました。
つまり、会社案内やサービス紹介を載せる一般的なホームページは、この制度の守備範囲に入っていません。
「IT導入補助金 ホームページ」で検索してここまで読んだ方には、期待外れの答えだと思います。
諦める必要はありません。
ホームページに使える公的支援は、別の場所にあります。
現実的に使えるのは小規模事業者持続化補助金です
ホームページ制作で公的支援を使うなら、まずここを見ることになります。
補助率は2/3です。
補助上限は50万円で、特例が適用される場合は最大250万円まで上がります。
申請には、商工会議所または商工会が発行する事業支援計画書(様式4)が必要です。
これは自分ひとりでは用意できない書類です。
商工会議所に出向いて、事業計画の相談をして、発行してもらう工程が発生します。
ここに時間がかかる点は、最初に頭に入れておいてください。
ここで、多くの方が誤解している点をお伝えします。
この制度は、ホームページの制作費だけでは申請できません。
公募要領には、ウェブサイト関連費は補助金交付申請額の1/4を上限とするルールが定められています。
さらに、ウェブサイト関連費のみによる申請は認められていません。
つまり「ホームページを作りたいので50万円申請します」という使い方ができない設計になっています。
使うとすれば、チラシやパンフレットの制作、展示会への出展、広告の出稿といった販路開拓の取り組みがあり、その事業計画の一部としてホームページも作る、という形になります。
補助金の対象になるのは、あくまでその全体のうちの1/4までです。
ホームページ単体で公的支援を受けたい場合は、この制度ではなく自治体の助成金を先に探したほうが早いと思います。
なお、この1/4のルールは第18回・第19回の公募要領で継続が確認できていますが、条件は改定されることがあります。
申請前に必ず最新の公募要領で確認してください。
そして日程です。
第19回の受付は2026年3月6日から4月30日までで、すでに終了しています。
次の第20回は2026年11月5日から12月15日までの受付予定で、様式4の発行受付締切は2026年12月4日とされています。
いま2026年7月です。
つまり、今から持続化補助金を使おうと決めた方は、申請できるようになるまでに3か月半あります。
そこから審査結果が出るまで、さらに数か月かかります。
この「待つ時間」が具体的に何を意味するのか。
私が実際に見た2件の話をします。
自治体の助成金は見落とされがちです
その前に、もうひとつだけ触れておきます。
国の制度ばかり調べて、自治体の助成金を見ていない方がかなりいます。
金額は国の制度より小さいのですが、競争相手が地域内に限られる分、性質が違います。
東京23区の例をいくつか挙げます。
| 自治体 | 内容 |
|---|---|
| 港区 | 創業2年未満・上限30万円・新規作成のみ |
| 葛飾区 | 補助率1/2・日本語版上限5万円/外国語対応8万円/EC10万円 |
| 荒川区 | 補助率1/2・上限20万円程度 |
| 江戸川区 | 補助率1/2・上限10万円(EC付き20万円)・先着順 |
このほかに、東京都のデジタルツール導入促進支援事業もあります。
ただし、ここに書いた条件は必ず変わります。
自治体の助成金は年度ごとに要綱が組み直され、予算が尽きたら締め切られます。
江戸川区の例が先着順であるように、そもそも審査ですらない制度もあります。
ですので、この表は「自分の自治体にも何かあるかもしれない」と気づくための材料として読んでください。
実際に使うときは、必ずお住まいの自治体の公式サイトで最新年度の要綱を確認してください。
東京以外の自治体でも同様の制度はありますので、「◯◯市 ホームページ 補助金」で検索するか、地元の商工会議所や商工会に聞くのがいちばん早いです。
私が受けた2件は落ちました

ここからが、この記事の本題です。
私は補助金を前提にしたホームページ制作の相談を、2件受けたことがあります。
時系列で並べます。
2025年12月、相談を受けました。
2026年5月、審査結果が出ました。
2件とも不採択でした。
2026年7月現在、どちらのホームページもまだ存在していません。
相談から、7か月以上が経過しています。
12月の時点で、私は見積もりまで出していました
2025年12月に相談を受けた時点で、私はどちらの事業者にもヒアリングを行い、見積書と提案書を作成して渡しました。
これは無償です。
補助金の申請には制作会社の見積書が必要になりますので、この工程自体は正しい順番です。
私も納得のうえで出しました。
問題はそのあとです。
見積書を渡したあと、私にできることは何もありませんでした。
発注はまだできません。
契約もできません。
着手はもちろんできません。
補助金は交付決定前の発注・契約・支払いが対象外になりますので、フライングで進めると補助金そのものが受け取れなくなります。
つまり、待つしかない構造になっています。
私も待ちました。
事業者も待ちました。
そのあいだ、ホームページに関して前に進んだものは何もありません。
1件は、制作を諦めました
2026年5月に不採択の連絡が来て、1件はそこで制作を取りやめました。
理由は責められるものではないと思います。
補助金が出る前提で予算を組んでいたので、全額自費となると出せない。
そういう判断でした。
ただ、この事業者が失ったのは補助金ではありません。
5か月です。
2025年12月に「ホームページが必要だ」と判断した状態から、2026年5月時点でも同じ場所に立っています。
そのあいだに問い合わせが増えたわけでもなく、採用の応募が来たわけでもありません。
補助金に落ちたことより、この5か月のほうが事業への影響としては大きかったのではないかと私は思っています。
もう1件は、まだ待っています
もう1件は、申請内容を修正して再チャレンジすることになりました。
前向きな判断だと思いますし、私は応援しています。
ただ、事実として書きます。
2026年7月の現在も、このサイトは1ページも存在していません。
相談から7か月以上です。
そしてこの再申請が次の公募回に向けたものであれば、結果が出るのはさらに先になります。
順調にいっても、着手は年をまたぐ可能性があります。
これは確率の話ではなく、時間の話です
念のためはっきり書いておきます。
2件では確率は語れません。
たまたま2件続けて落ちただけかもしれませんし、私が見た範囲が偏っているだけかもしれません。
私がここで言いたいのは、確率ではなく時間についてです。
採択されても不採択でも、申請から結果が出るまでの数か月は、必ず発生します。
そしてその数か月は、採択された人にも同じようにかかっています。
つまり通っても通らなくても、待ち時間だけは全員が確実に支払っています。
この待ち時間を「どうせ待つだけの期間」として空白のまま過ごすのか、それとも準備に使うのか。
そこで結果がかなり変わります。
もうひとつ開示しておきます。
私自身も、この2件でヒアリングと見積もり作成にかけた工数を回収できていません。
無償で出したものが、そのまま無償で終わった状態です。
これを書くのは同情を求めるためではなく、「制作者だから早く発注させたくてこう書いている」と読まれたときの反証としてです。
私も損をしている側にいます。
そのうえで、いちばん損をしたのは7か月を使った事業者のほうだと思っています。
補助金の3つの現実

制度の条件表には載っているのに、相談の場でよく驚かれる点を3つ挙げます。
申請する前に知っておいてください。
1. 後払いです。いったん全額自分で払います
補助金は精算払いです。
先にお金がもらえて、そのお金で発注するのではありません。
制作費は一度こちらが全額支払います。
そのあと実績を報告して、審査を経て、補助分が振り込まれます。
ですので「補助金があるから安く作れる」という理解は、正確ではありません。
正しくは「いったん全額払って、あとから一部が戻る」です。
手元の資金がその金額に耐えられるかどうかは、採択とは別の問題として先に確認しておいてください。
2. 交付決定前の発注・契約・支払いは対象外です
さきほども触れましたが、ここが待ち時間の正体です。
交付決定が下りる前に契約したり、着手金を払ったりすると、その費用は補助の対象から外れます。
だから申請した人は動けません。
「先に少しだけ進めておく」ができない設計になっています。
このルールを知らずに見積書だけ取って着手を始めてしまい、あとで対象外になるという事故もあります。
制作会社側が補助金に慣れていないと、うっかり起きます。
3. 交付後にも報告義務があり、返還のリスクがあります
補助金は受け取って終わりではありません。
交付後には実績報告が必要です。
さらに、その後の効果報告も求められます。
そして効果報告が完了する前に事業を廃止したり、補助対象として導入したツールを解約したりすると、返還を求められる場合があります。
数年単位で書類仕事がついてくると考えておいたほうが実態に近いです。
この手間を「補助されるなら安いもの」と見るか、「本業の時間を削ってまでやるか」と見るかは、事業者ごとに答えが違っていいと思います。
落ちたときどうするかを、申請前に決めてください

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
申請する前に「落ちたらどうするか」を決めておいてください。
落ちてから考えると、たいてい思考が止まります。
私が見た2件も、そこで止まりました。
決め方は、資金状況によって変わります。
全員に同じ助言を投げても意味がありませんので、まず2つに分けます。
自己資金に余裕がある場合は、先に作ってください
手元の資金で制作費をまかなえる状態なら、補助金は「通ればラッキー」の位置に置いてください。
そして先に作り始めてください。
理由は単純です。
ホームページは、公開した日から動き始めます。
検索エンジンに評価されるにも、問い合わせが積み上がるにも、時間がかかります。
半年早く公開したサイトは、半年分先に進んでいます。
補助金を待って半年遅らせた場合、浮くのは制度の上限額までです。
その金額と、半年分の機会を比べてみてください。
どちらが大きいかは事業によりますが、少なくとも「自動的に補助金のほうが得」ではありません。
自己資金がギリギリなら、待つのは合理的です
正直に言うと、ここは私の商売と反する話になります。
手元の資金に余裕がなく、補助金がなければ本当に払えない。
その状態なら、待つのは合理的な判断です。
無理に借り入れてまで今作るべきだとは、私は言いません。
ただし、待つと決めるなら、待っているあいだに何をするかも同時に決めてください。
「結果が出るまで何もしない5か月」と「結果が出るまでに準備を終わらせる5か月」は、まったく別のものです。
どちらを選んでも、準備だけは先に進めてください
ここまで資金状況で2つに分けましたが、どちらを選んだ方にも共通してお願いしたいことがあります。
申請と並行して、制作の準備だけを進めておいてください。
準備には基本的にお金がかかりません。
そして交付決定前の準備は発注にも契約にもあたりませんので、補助金のルールにも抵触しません。
具体的にはこのあたりです。
サイトで何を達成したいのかを言葉にする。
載せる情報を整理する。
サービス内容や料金の書き方を決める。
店舗や商品の写真を撮っておく。
お客様の声を集めておく。
会社概要や実績の情報をまとめておく。
このうち写真とテキストの準備が、実は制作全体でいちばん時間がかかる部分です。
制作会社に依頼したあとで「写真がなくて止まっています」となる案件は珍しくありません。
詳しくはホームページ制作を依頼する前に準備しておくことにまとめています。
これをやっておくと、採択された瞬間に着手できます。
そして不採択だった場合も、準備は無駄になりません。
規模を落として作る、自費で作る、あとで作り直す。
どの選択肢を選んでも、準備した素材はそのまま使えます。
二択で考えないでください
「補助金で作る」か「作らない」かの二択にしてしまうと、落ちた瞬間に選択肢がゼロになります。
そのあいだにも選択肢はあります。
1つは、1ページだけ先に作る方法です。
サービス紹介と問い合わせ先だけの構成なら、費用を抑えて公開まで持っていけます。
私のところではLP型のプランを165,000円(税込)で用意していますが、まずここから始めて、あとから育てるという順番は十分に成り立ちます。
2つ目は、段階的に作る方法です。
最初にトップページと問い合わせフォームだけを公開して、事例や実績のページは後から足していきます。
サイトは一度で完成させなければいけないものではありません。
3つ目は、予算そのものを見直す方法です。
最初に立てた予算が本当に必要な規模だったのか、もう一度制作会社と話してみてください。
必要な機能を絞れば、手が届く金額に収まることもあります。
ただし、ここで金額だけを基準に選ばないでください。
安さだけで選んだ結果どうなるかは格安ホームページ制作のリスクに書きましたので、そちらを読んでから判断してもらえると安心です。
私は補助金の申請サポートをしません

ここは正直に書いておきます。
「補助金の申請、手伝ってもらえますか」と聞かれることがありますが、私はお受けしていません。
理由は2つです。
ひとつは、補助金の申請支援は私の専門分野ではないからです。
制度は毎年変わりますし、事業計画書の書き方には申請支援の専門家が持つ蓄積があります。
私が中途半端に関わると、精度が落ちます。
もうひとつは、採否に責任を持てないからです。
申請を手伝って報酬をもらいながら、落ちたら「制度が厳しかったですね」で終わってしまいます。
その立ち位置を、私は取りたくありません。
申請支援については、まず商工会議所や商工会に相談してください。
様式4の発行手続きも同じ担当窓口で案内してもらえますので、話が早く進みます。
地区によって運用が異なる場合がありますので、詳しくは最寄りの窓口にご確認ください。
私にできるのは、見積書と提案書を出すところまでです
そのかわり、申請に必要な制作側の書類は用意できます。
ヒアリングをして、必要な仕様を整理して、見積書と提案書を作成します。
補助金の申請書類に添付できる形式で出しますので、そのまま申請に使えます。
さきほど書いた2025年12月の2件も、この工程を無償でやりました。
今も変わらず無償です。
結果として回収できないこともありますが、それは私が引き受けているリスクだと思っています。
ひとつ気をつけてほしいのは、順番です。
自分の作りたいホームページがそもそもいくらかかるのかを知らないまま、補助金の条件だけを調べている方がけっこういます。
上限50万円の制度を見て安心していたら、実際の見積もりはその何倍もの金額でした、という順番の狂いが起きます。
制作の進み方そのものを先に知っておきたい方は、ホームページ制作を依頼する流れもあわせて読んでみてください。
まとめ:補助金は支払い方の話、作るかどうかは事業の話

最後に、この記事の要点をもう一度書きます。
IT導入補助金(現・デジタル化・AI導入補助金)ではホームページは作れません。
現実的な選択肢は小規模事業者持続化補助金と自治体の助成金ですが、持続化補助金の次の受付は2026年11月5日からです。
そして条件は年度ごとに変わりますので、申請前に必ず最新の公募要領と自治体の要綱を確認してください。
そのうえで、私が2件の相談から学んだのはこの一点です。
補助金は、支払い方の話です。
作るかどうかは、事業の話です。
この2つを混ぜると、事業の判断が審査結果に乗っ取られます。
私が見た2件は、どちらも「ホームページが必要だ」という判断は正しかったのに、その正しい判断が7か月止まりました。
補助金は使ってください。
使えるなら、使ったほうがいいです。
ただ、作るかどうかを補助金に決めさせないでください。
作ると決めるのは、あなたの事業の状況です。
補助金は、そのあとに来る話です。
補助金申請用の見積書だけ、先に取っておきませんか
申請するかどうかを決める前に、金額だけ先に知っておく方法があります。
ヒアリングのうえで、見積書と提案書を作成してお渡しします。
補助金の申請書類にそのまま添付できる形式で出します。
費用はかかりません。
「まだ申請するか決めていない」という段階で問題ありません。
むしろ、金額がわからないまま制度を調べている状態のほうが、判断を誤ります。
お問い合わせはこちらからどうぞ。

