ホームページ制作を依頼する流れ|問い合わせから公開まで発注者がやること

  • -
    コピー
アイキャッチ

「お金をかけて作ったのに、問い合わせが一件も来ない」
「思っていたより費用がかかって、途中で予算が足りなくなった」
ホームページ制作の相談を受けていると、こうした声を本当によく聞きます。

気になるデータがあります。
マーケティング支援会社のWACULが、Webサイトを刷新した20社を調べたところ、問い合わせが増えたのは25%(5社)だけでした。
60%(12社)はむしろ問い合わせが減っています。
この調査を東洋経済オンライン(2020年)は「刷新の75%が失敗している」と報じました(記事の著者はWACUL代表の垣内勇威氏)。
お金をかけてリニューアルしたのに、4社に3社は成果につながっていないという結果です。

なぜこういうことが起きるのでしょうか。
私は、原因は「制作の流れを知らないから」ではないと考えています。
本当の原因は、目的があいまいなまま受け身で発注してしまうことにあります。

私はフリーランスのWebエンジニアとして、コーディングやサイトの保守運用をしています。
この記事で書きたいのは、工程を暗記することではありません。
問い合わせから公開までの各ステップで、発注者であるあなたが何を準備し、何を判断すればいいのかです。
「全部おまかせしたい」という方にも、「最低限これだけは決めておきましょう」という話を正直にお伝えします。

「流れを知る」とは「いつ・何を決めるか」を知ること

「流れを知る」とは「いつ・何を決めるか」を知ること

ホームページ制作の流れを知る目的は、工程表を覚えることではありません。
どのタイミングで、発注者であるあなたが何を決めるのかを把握することにあります。

発注者は、デザインやコーディングの技術を持っていないから制作を依頼します。
これは当然のことです。
ただ、ここで一つ切り分けが必要です。
プロに任せられるのは「作業」であって、「目的を決めること」ではありません。

デザインやコーディングという作業は、専門家に丸投げできます。
けれど「誰に向けて、何のために作るのか」という目的の設定は、あなたにしか決められません。
ここを制作会社やフリーランスに丸投げしてしまうと、話がずれていきます。

ホームページ制作は、作業の委託ではなく「意思決定の連鎖」です。
小さな判断が工程ごとに積み重なって、最終的なサイトができあがります。
受け身で進めると、「かっこいいサイト」は手に入ります。
けれど「集客できるサイト」は手に入りません。

だからといって、あなた一人で完璧な要件を用意する必要はありません。
私がいつもお伝えしているのは、「準備してきてください」ではなく「一緒に整理しましょう」という姿勢です。
そのうえで、各工程には発注者が判断すべきポイントが確かにあります。
それがどこにあるのかを、これから具体的に見ていきます。

全体像|問い合わせから公開まで7ステップ

全体像|問い合わせから公開まで7ステップ

まず全体の流れをつかみましょう。
ホームページ制作は、問い合わせから公開まで、おおむね次の7つのステップで進みます。

ステップ発注者がやること期間の目安
①問い合わせ「なぜ作るのか」を一文で伝える即日〜数日
②ヒアリング・要件定義目的・ターゲット・必要な機能を一緒に整理する2〜3週間
③見積・契約修正回数・著作権・保守範囲などを確認する1〜2週間
④設計(サイトマップ・ワイヤーフレーム)ページ構成が目的に合うか確認する1〜2週間
⑤デザイン原稿・写真・ロゴを渡し、方向性を判断する2〜4週間
⑥コーディング・実装表示や動作の途中確認に応じる3〜4週間
⑦テスト・公開原稿と動作の最終チェックをする1〜2週間

全体でどのくらいかかるのか、目安もお伝えします。
小規模な5ページ前後のサイトで1〜2ヶ月、10〜20ページの中規模で2〜3ヶ月、ECサイトや大規模サイトで4〜6ヶ月以上とされることが多いです。
ただし、これは公的な統計があるわけではありません。
民間の制作各社が公開している経験則をまとめた目安として受け取ってください。

各ステップの中身、つまり「何を判断するか」「いくらかかるか」は、このあと詳しくお話しします。
ここではまず、全体で7ステップあるという地図を持っておいてください。

【工程別】各ステップで発注者が準備・判断すること

【工程別】各ステップで発注者が準備・判断すること

ここがこの記事の中心です。
7つのステップそれぞれで、発注者が「準備すること・判断すること・確認すること」を具体的に見ていきます。

①問い合わせ|何も決まっていなくて大丈夫

最初にお伝えしたいのは、問い合わせの時点では何も決まっていなくて構わないということです。
「ページ数は」「デザインの希望は」と全部そろえてから相談しなければ、と身構える方が多いのですが、その必要はありません。
制作会社のハタフルなども同じことを案内しています。

ただ、一つだけ考えてから連絡してほしいことがあります。
「なぜホームページを作るのか」を、一文で言えるようにしておくことです。
「新規のお客さんを増やしたい」でも「求人応募を集めたい」でも構いません。
この一文があるかないかで、その後の打ち合わせの深さが変わります。

問い合わせフォームには、この目的に加えて、今の困りごとや、決まっている範囲で予算感や希望時期を書いておくと話が早く進みます。

②ヒアリング・要件定義|目的を「尖らせる」段階

この工程は、あいまいな目的を尖らせていく段階です。
ここが一番大事だと私は考えています。

実際に相談を受けていると、目的を絞れない方がとても多いです。
「とりあえずかっこいいサイトにしたい」
「なるべく多くの人、できれば全員に来てほしい」
こういうご要望をよくいただきます。
気持ちはよくわかります。
けれど、目的があいまいなままだと、競合他社との違いがサイトから消えてしまいます。
全員に向けた言葉は、結局だれの心にも刺さりません。

以前、店舗型のビジネスを営む方の案件を担当しました。
最初は「幅広い層に来てほしい」というご希望でした。
そこでヒアリングを重ねて、「まずは地域に住んでいる人に絞りましょう」というところまで一緒に尖らせました。
ターゲットを絞ったことで、載せるべき情報も、見せ方も、はっきりしていきました。

この段階で私がよくする問いかけがあります。
「どんな人に、何を見てから問い合わせてほしいですか」
「公開してから、どうなっていれば成功と言えますか」
この2つを一緒に考えると、サイトのゴールが見えてきます。
これはコンバージョン設計、つまり成果につながる導線を決める作業です。

そうして固まった目的やターゲット、必要なページ、必要な機能、スケジュール、予算を文書にまとめます。
これが要件定義です。
ここで文書化しておくと、後々の「言った・言わない」のトラブルを防げます。

③見積・契約|発注者が確認すべき5つのこと

見積書と契約書を受け取ったら、発注者として確認してほしい点が5つあります。
金額の合計だけを見て判断するのは避けましょう。

1つ目は、修正回数です。
多くの制作会社では、初稿を出したあとの修正を2〜3回まで無料とするケースが見られます。
これが「業界の決まり」というわけではありませんので、自分の契約では何回までなのかを必ず確認してください。

2つ目は、著作権の扱いです。
完成したデザインの著作権が自分に譲渡されるのか、それとも利用を許可されるだけなのかで、後の自由度が変わります。
デザインの元データを納品してもらえるかどうかも確認しておきましょう。

3つ目は、サーバーとドメインの名義です。
これは発注者であるあなたの名義にしておくのが基本です。
制作会社の名義のままにすると、他社へ移りたくなったときに移管で足止めされるリスクがあります。

4つ目は、保守の範囲です。
セキュリティの更新、データのバックアップ、公開後の軽微な修正が料金に含まれるのか、月額でいくらかかるのかを確認します。

5つ目は、納品物の範囲です。
最終的に何を、どんな形式で受け取れるのかをはっきりさせておきます。

見積書の内訳が「ホームページ制作一式」だけになっている場合は、中身の内訳を出してもらいましょう。
内訳の透明性は、信頼できる相手かどうかを見るうえでも参考になります。

④設計・⑤デザイン|「かっこいいか」より「届くか」

設計とデザインの工程では、判断の軸を持っておくことが大切です。
その軸は「かっこいいかどうか」ではありません。
「ターゲットにちゃんと届くかどうか」です。

デザイン案を見せられると、つい自分の好みで判断したくなります。
そこで一度立ち止まって、「これは②で決めたターゲットに響くだろうか」と問い直してください。
この視点があるだけで、判断の質が変わります。

この工程で発注者に準備してほしいものがあります。
原稿です。
会社概要、サービスの説明、料金、よくある質問といった文章です。
写真も必要です。
店舗の様子、スタッフ、商品などの写真があると、サイトの説得力が上がります。
ロゴのデータも用意しましょう。
AI形式やEPS形式など、編集できる形式が理想です。
そして、参考にしたいサイトを3件ほど挙げておくと、方向性が伝わりやすくなります。

ここで一つ、正直にお伝えしておきます。
原稿や素材の準備が遅れると、その分だけ納期も後ろにずれます。
これは複数の制作会社が同じように案内している点です。
制作が止まる原因の多くは、実はこの素材待ちです。
早めに手をつけておくと、全体がスムーズに進みます。

⑥コーディング・実装・⑦テスト・公開|最終確認を担う

コーディングと実装は、デザインを実際に動くサイトへと組み上げる工程です。
ここで発注者にお願いしたいのは、途中段階での確認です。
表示が崩れていないか、リンクやボタンがちゃんと動くか、原稿に誤字がないかを見てもらいます。

テストを経て、いよいよ公開です。
ただ、ここで気持ちを引き締めてほしいことがあります。
公開はゴールではありません。
むしろスタートです。
サイトは公開してから、少しずつ育てていくものです。

期間と費用の目安|社内を通す根拠に

期間と費用の目安|社内を通す根拠に

ここでは、期間と費用の目安をまとめます。
社内で稟議を通したり、家族や共同経営者に説明したりするときの根拠として使ってください。

まず、工程別の期間の目安です。
10〜20ページの中小規模サイトを想定しています。

工程期間の目安
ヒアリング・要件定義2〜3週間
設計(サイトマップ・ワイヤーフレーム)1〜2週間
デザイン2〜4週間
コーディング・実装3〜4週間
テスト・公開1〜2週間
合計2〜3ヶ月

次に、費用の相場です。
依頼先によって、おおよその金額帯が変わります。
フリーランスで10〜50万円、中小の制作会社で30〜150万円、大手の制作会社で300万円〜1,000万円以上といった水準です。
これも公的な統計はありません。
民間各社が公開している情報にもとづく目安として受け取ってください。

先ほどのWACULの別の調査では、予算300万円以上のリニューアルは69%が成功した一方で、予算100万円未満では成功率が30%だったという結果も出ています(WACUL調査)。
かけた予算が多いほど成果が出やすい傾向はあります。
ただ、これは「安いと必ず失敗する」という話ではありません。
予算に応じて、何を優先し、何をいったん諦めるかを決めることが大切だという話です。

予算が限られている場合の選択肢もお伝えしておきます。
既存のテンプレートを活用して費用を抑える方法があります。
最初は小さく作って、成果を見ながら段階的に追加していく発注の仕方もあります。
マーケティングを自分で全部できる方なら、CMSを使って自作するという道もあります。
予算が少ないからといって、良いサイトを持てないわけではありません。

誰に頼むか|フリーランス・制作会社・自作の選び方

誰に頼むか|フリーランス・制作会社・自作の選び方

「結局、誰に頼めばいいのか」
ここが一番迷うところだと思います。
私自身がフリーランスなので、なるべく中立にお話しします。

まず、頼み先を選ぶための判断軸を整理しましょう。
サイトの規模、公開後の保守や長期運用の重さ、社内にどれだけリソースがあるか、予算がいくらか。
この4つの軸で、3つのタイプを機械的に振り分けてみます。

判断軸フリーランス制作会社自作・CMSセルフ
サイト規模小〜中規模向き中〜大規模向き小規模向き
保守・長期運用個人の対応範囲による組織で継続対応しやすい自分で対応する必要
社内リソース少なくても進めやすい少なくても進めやすいある程度必要
予算抑えやすい中〜高め最も抑えやすい

順番に、向いているケースを正直に書きます。

制作会社が向くのは、大規模なサイトや、複数の部署が関わるプロジェクトです。
公開後の長期的な保守やセキュリティを重視する場合も、組織で対応できる制作会社が安心です。
ここはフリーランスより制作会社のほうが向いています。

自作やCMSのセルフ運用が向くのは、マーケティングを自分で全部できる方です。
これは私の本音ですが、集客の設計から運用まで自分でやりきれるなら、無理に外注しなくても自作で十分に成果を出せます。

フリーランスに頼む場合は、窓口が一人なので確認のやり取りが速いという良さがあります。
その一方で、対応できる範囲が人によって違います。
保守まで見てくれるのか、マーケティングの相談にも乗ってくれるのか。
そこを最初に確認しておくことが大切です。

ここで、私が実際に経験した話をお伝えします。
価格の安さだけで制作先を選んだ結果、うまくいかずに私のところへ相談に来られた方が何人もいます。
コミュニケーションがかみ合わなかった、あるいは公開しても成果が出なかったという相談です。
このとき私が思うのは、多少値段が張っても、目的を達成してくれる相手を選ぶべきだということです。
価格だけを並べて比較するのは、得策ではありません。
価格の安さだけで選ぶことの落とし穴は、別記事「格安HP制作の裏側|安さで選ぶ前に知っておくこと」でも詳しく書いています。

誤解しないでいただきたいのは、これは「フリーランスか制作会社か」の問題ではないということです。
うまくいかなかった本当の原因は、発注のプロセスにあります。
目的があいまいなまま、丸投げで、価格だけを見て選んでしまう。
このやり方だと、フリーランスに頼んでも制作会社に頼んでも、同じように失敗が起きます。
価格だけで選ぶリスクは、誰に頼むかとは別の話です。

フリーランスに頼むことのメリットとデメリットをもっと詳しく知りたい方は、別記事「フリーランスにHP制作を頼むメリット・デメリット」もご覧ください。

よくある失敗と、発注前チェックリスト

よくある失敗と、発注前チェックリスト

最後に、よくある失敗のパターンをまとめます。
どれも、事前に知っていれば避けられるものばかりです。

一つ目は、目的があいまいなまま発注してしまう失敗です。
二つ目は、原稿や写真の準備が遅れて、納期がずるずると延びる失敗です。
三つ目は、公開後の追加費用やランニングコストを見落としていた失敗です。
四つ目は、公開したまま更新もせず、放置してしまう失敗です。

これらを避けるために、発注前のチェックリストを用意しました。
問い合わせをする前に、一度目を通してみてください。

問い合わせの前に決めておくこと

  • なぜ作るのか、目的を一文で言えるか
  • どんな人に届けたいか、ターゲットが思い浮かぶか
  • 公開後、どうなっていれば成功と言えるか

見積を比較するときに聞くこと

  • 修正は何回まで無料か
  • 見積の内訳を出してもらえるか
  • 保守の範囲と月額はいくらか

契約の前に確認すること

  • デザインの著作権と元データの扱いはどうなるか
  • サーバーとドメインは自分の名義になるか
  • 納品物の範囲は明確か

公開後の保守にどのくらい費用がかかるのか知りたい方は、別記事「WordPress保守の費用相場は月いくら?」もあわせてどうぞ。

まとめ|受け身の発注者から、能動的な発注者へ

まとめ|受け身の発注者から、能動的な発注者へ

ホームページ制作の流れを知る目的は、工程を暗記することではありません。
受け身でおまかせする発注者ではなく、要所で自分の意思を伝えられる能動的な発注者になることです。

選ぶときの基準も、価格の安さではありません。
「自分の目的を、一緒に達成してくれる相手かどうか」で選んでください。
この一点を外さなければ、フリーランスでも制作会社でも自作でも、成果に近づけます。

今日この記事を読んだあなたに、まずやってほしいことを一つだけお伝えします。
問い合わせをする前に、「なぜホームページを作るのか」を一文で書き出してみてください。
それだけで、あなたの発注は受け身から能動へと変わります。

その一文を一緒に磨いていくところから始めたい方は、気軽にご相談ください。
目的の整理から、あなたのペースでお手伝いします。

この記事を書いた人

宮地 健太朗

Web制作・運用を中心に、
中小企業・個人事業主のWeb活用を支援しています。

現在は、東京のWebマーケティング会社にてエンジニアとして参画し、サイト制作・運用改善・業務効率化などを担当しています。

単なる制作にとどまらず、
「どうすれば使われ続けるか」「どう改善すれば成果につながるか」を重視し、実務に即した提案と実装を行っています。

専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明しながら、
一緒に考え、継続的に改善していくことを大切にしています。