ホームページ更新代行の実態|依頼の9割は誤字修正と画像差し替えです

  • -
    コピー
アイキャッチ

「ホームページを直したいけれど、社内に触れる人がいない」。
そう思って更新代行を調べ始めると、業者のサービスページばかりが並びます。
月額いくら、対応無制限、最短即日と書いてあります。
どこも似たような文言で、肝心のところがわかりません。

わからないのは、たぶんこの3つです。
何をどこまで頼めるのか。
月にいくらかかるのか。
そもそも自分に、お金を払ってまで頼むほどの用件があるのか。

先に立場を明かします。
私はフリーランスのWebエンジニアとして、月額で更新代行と保守を受けている側の人間です。
つまり「頼んだほうがいいですよ」と書けば、私の売上になります。
そういうインセンティブを持った書き手だと承知したうえで読んでください。
この前置きは最初の1回だけにして、あとはできるだけフェアに書きます。

受けている側から見ると、更新代行の実態はサービスページに書かれている姿とだいぶ違います。
来るのは誤字の直しと、写真の差し替えです。

更新代行に来る依頼は、ほとんどが誤字修正と画像差し替え

更新代行に来る依頼は、ほとんどが誤字修正と画像差し替え

ページを丸ごと作り替えたい、デザインを刷新したい、といった大掛かりな依頼はめったに来ません。
私が実際に受けている依頼を並べると、こうなります。

  • 文章の誤字脱字を直してほしい
  • トップページの写真を新しいものに差し替えてほしい
  • 料金表の金額が変わったので書き換えてほしい
  • 年末年始の営業日をお知らせに載せてほしい
  • スタッフが入れ替わったので紹介ページを更新してほしい

1件あたりの作業時間は、5分から30分といったところです。
これが月に数回、思い出したように届きます。

なぜこんな小さな作業にお金が払われるのか。
依頼する側が値段をつけているのは、作業の量ではないからです。
5分で終わる作業でも、やり方を調べるところから始める人にとっては1時間仕事になり、しかも直したあとで表示が崩れていないか不安が残ります。
その不安ごと引き取ってもらえるなら、数千円は安いという判断です。

ですから「こんな小さな用件で頼むのは申し訳ない」という遠慮は不要です。
受ける側からすると、小さくて頻度のある依頼のほうが扱いやすいくらいです。

「更新代行」「保守」「運用」は別のサービスです

この3つを同じものだと思って契約すると、あとで話が食い違います。

用語中身目的
更新代行文章・画像の差し替え、お知らせの追加情報を最新に保つ
保守WordPress・プラグインの更新、バックアップ、SSL管理、障害復旧壊さない・止めない
運用アクセス解析、改善提案、記事や施策の実行成果を伸ばす

もっともトラブルになりやすいのが、更新代行と保守の混同です。
更新代行だけを契約した場合、プラグインの更新もバックアップも、契約書に書かれていなければ誰もやっていない状態になります。
「更新をお願いしていたのに、乗っ取られたときは何もしてもらえなかった」という話は、たいていこの境界線の認識違いから起きます。

保守と運用の中身をもう少し詳しく知りたい方は、ホームページの保守は本当に必要かで掘り下げています。

なぜ、自分でもできそうな作業を外注するのか

なぜ、自分でもできそうな作業を外注するのか

ここまで読んで、「その程度なら自分でやれるのでは」と思った方もいるはずです。
その感覚は正しいです。

私がお客さんから直接聞く理由は、大きく2つあります。
一つは時間の問題で、売上をつくる時間を削って管理画面の操作方法を調べるのは経営者にとって割に合いません。

もう一つは根が深く、社内にIT的なことを聞ける相手がいないと小さな作業でも手が止まります。
システム担当者が社内外を通じて不在という企業は27.5%にのぼります。
従業員10〜29人の規模に限ると48.2%で、ほぼ2社に1社です(kubell 2025年11月調査)。
Web担当者どころか、ITの担当者そのものがいない会社が珍しくありません。

そして、口には出しにくい3つ目の理由があります。
触って壊すのが怖い、というものです。

これは臆病なのではなく、正しい感覚です。
WordPressの管理画面には更新を促す通知が常に出ていて、その通知を押した瞬間にレイアウトが崩れることは起こりえます。
何が起きるかわからないボタンを、責任を持って押せる人が社内にいません。
それが「怖い」の正体です。

「AIやノーコードで自分でできるのでは」への回答

「AIやノーコードで自分でできるのでは」への回答

最近この質問をよく受けます。
文章はAIが書けて、画像も生成できて、ノーコードツールなら管理画面も直感的に触れます。
それなら更新代行はもう要らないのではないか、という問いです。

正面から答えると、これから新しくサイトを作る人については、おおむねそのとおりです。
ノーコードツールで作ったサイトなら、テキストと画像の差し替えは表計算ソフトを触れる程度の感覚でできます。
かかるのは月額数千円と、慣れるまでの1日か2日です。
その投資で更新代行の基本的な部分はカバーできるので、外注をすすめる理由は私にはありません。

ただ、この話が当てはまらない領域があります。
すでにWordPressで作られたサイトを、これから何年も動かし続ける場合です。

PHPのバージョン、プラグイン同士の相性、テーマの互換性、SSL証明書の期限といった要素が絡み、AIに文章を書いてもらうのとは別の種類の作業になります。
AIに「このプラグインを更新して大丈夫か」と聞けば、それらしい答えは返ってきます。
けれど、更新して表示が崩れたときに元へ戻し、原因を切り分けて、なぜそうなったかを説明するところまではやってくれません。
つまりAIは、操作の責任を引き受けてくれないわけです。
この責任を誰が担うのかという問題は、ツールが進化しても残ります。
更新代行に払うお金の実質は、作業料というより、その引き取り料に近いです。

費用は「月額いくら」より「1作業いくら」で考える

費用は「月額いくら」より「1作業いくら」で考える

相場を並べるだけだと判断材料にならないので、換算の仕方まで書きます。
各社の公開料金を見るかぎり、価格帯はだいたい3つに分かれます。

形態目安主な中身
スポット依頼1作業3,000〜10,000円都度見積もり。テキスト修正・画像差し替えなど
格安の月額プラン月3,000〜5,000円回数や作業範囲に上限あり
一般的な月額プラン月10,000〜50,000円更新作業+相談窓口。保守を含むかは要確認

これらは業界団体や公的機関の統計ではなく、制作会社やフリーランスが公開している料金の集計なので、目安として受け取ってください。

格安帯で何が起きるか

先に、気になる方が多いであろう月3,000〜5,000円の格安帯から書きます。
この価格が成立する理由は単純で、含まれるものを絞っているからです。

更新回数には上限があり(月2回まで、など)、画像の加工やバナー制作、新規ページの追加は別料金になります。

実際に各社の内訳を見ると、この帯に入っているのはサーバー管理、ドメイン更新、最低限のアップデートが主体です。
テキストや画像の差し替えといったコンテンツ更新は、含まれないか回数が極端に限られます。
名前は更新代行でも、中身は保守に近い最低限のプランだと考えたほうが実態に合います。

価格に表れにくい違いもあります。
格安帯は作業を受けて作業を返す形が中心なので、「これってどうしたらいいですか」という手前の相談には応じないことが多いです。

月3万円は、誤字修正なら何回分か

月額を判断するときは、1作業あたりに割り戻すのがおすすめです。
スポット料金の相場が1作業3,000〜10,000円なので、仮に1件5,000円で計算すると、月3万円の契約は6件分です。
月に6件も更新の用件があるかどうか、思い浮かべてみてください。
毎週なにかしら直したいことがある会社なら、月額のほうが確実に得です。
2か月に1回思い出す程度なら、都度払いのほうが安く上がります。

私の場合は2段階です

ここまで書いた物差しを、自分のプランにも当てます。
私のプランは2つです。

一つは月11,000円のベーシック保守です。
含まれるのは、テキストと写真の差し替えといった更新作業、WordPress本体の更新、サーバーとメールアドレスの管理、それとIT全般の相談です。

もう一つは月44,000円のサイト改善サポートです。
こちらはアクセス解析と月次レポート、そして改善施策の実施(記事作成など)まで含みます。

さきほどの1作業5,000円という物差しを11,000円に当てると、割り戻して2.2件分です。
つまり、更新作業だけを見るなら、月に2回以上の依頼がなければ都度払いのほうが安くなります。
これは正直に書いておくべきところです。

では月1回しか更新しない人が損かというと、そこは中身次第です。
更新作業以外の相談まで含めて何が買われているのかは、WordPress保守の費用相場で詳しく書いています。

更新代行として受ける相談で多いのは、依頼の仕方そのものがわからないという声です。
直したい箇所はあるのに、どう伝えればいいかわからないまま何か月も止まっていた、という話は珍しくありません。
その伝え方は、この記事の後半で実例を出します。

判断の分かれ目は、作業を代わってほしいのか、成果まで一緒に追ってほしいのかです。
前者なら11,000円のプランで足りますし、他社の格安帯でも用は足ります。
後者を求めるなら、解析とレポートが入る44,000円の枠になります。
どちらでもなく「たまに直したいだけ」なら、月額契約は結ばず都度払いで十分です。

外注しても、消えない手間があります

外注しても、消えない手間があります

「丸投げすれば楽になる」という言い方は、半分は本当で、半分は嘘です。

消えるのは、操作する手間と、壊したらどうしようという不安です。
ここは確実に消えます。

消えないのは、指示を出す手間です。
どのページの、どの文章を、どう直したいのかを決めるのは、依頼する側にしかできません。
外注して一番つまずくのがここで、「伝えるのが面倒で、結局そのままになった」という話をよく聞きます。

外注は「作業時間がゼロになる」ではなく「作業時間が指示出しの時間に置き換わる」と考えてください。
置き換わった結果としてトータルの時間と気疲れが減るなら外注は正解で、指示出しのほうが大変になるならやめておいたほうがいいです。

なお、解約したあと自分でサイトを触れるのか、業者に囲い込まれないかという心配もあると思います。
これは契約前に「データの引き渡し条件」と「解約の手続き」を確認しておけば避けられる話で、詳しくはWeb担当者がいない会社のサイト運用術で扱っています。

実際の依頼は、こう進みます

実際の依頼は、こう進みます

依頼の流れが見えないせいで踏み切れない、という方は多いです。

初回に聞かれること

最初のやり取りで確認されるのは、だいたい次の項目です。

  • サイトのURL
  • WordPressの管理画面のログイン情報(またはあとで発行してもらう)
  • サーバーとドメインの契約先(支払いは誰がしているか)
  • 制作した会社と、いまも付き合いがあるか
  • 月にどれくらいの頻度で更新したいか
  • 連絡手段(メール、チャットツール、電話のどれがいいか)

答えられない項目があっても問題ありません。
「サーバーがどこかわからない」はよくある話で、URLがわかれば調べがつきます。

写真を送るだけで通じる依頼、通じない依頼

「この写真に差し替えてください」は通じます。
どのページのどの位置かさえ添えてあれば、作業に入れます。

通じないのは、判断が含まれている依頼です。
たとえば「トップの写真、なんかいい感じにしておいてください」と言われても、何をもって完成とするかがこちらにはわかりません。
必ず確認のやり取りが発生し、往復が増えて公開が遅れます。

悪い依頼文と、良い依頼文

悪い例。

お世話になります。
ホームページの内容が古くなっているので、更新をお願いします。
よろしくお願いいたします。

これを受け取った側は、まずサイト全体を見比べて、どこが古いのかを探すところから始めます。
探した結果を「ここでしょうか」と確認して、違えばまた探します。
本題に入る前に2往復です。

もう一つの悪い例。

料金のところ、値上げしたので直しておいてください。

一見よさそうですが、新しい金額が書かれておらず、税込か税別かもわかりません。
結局「新しい料金を教えてください」と聞き返すことになります。

良い例。

料金ページ(https://〇〇〇.jp/price/)の修正をお願いします。
・「スタンダードプラン 月額8,000円(税別)」→「月額9,000円(税別)」
・「ライトプラン」の行はサービス終了のため削除してください
8月1日から新価格なので、7月31日の夜までに公開できると助かります。

ページのURL、変更前と変更後、公開したい期限が書かれています。
この3点が入っていると、確認のやり取りなしで作業に入れます。
文章がうまい必要はまったくなく、箇条書きで構いません。
画像の差し替えなら、元の写真の場所がわかるスクリーンショットに丸をつけて送ってもらうのが一番速いです。

公開までにかかる日数

軽微な修正なら、依頼から1営業日から3営業日で公開できるのが一般的な感覚です。
私の場合も、テキストの差し替え程度なら当日か翌営業日には反映します。

時間がかかるのは、新規ページの作成や画像加工が入る場合で、1週間程度みておくと安全です。
依頼内容に確認のやり取りが必要な場合も延びますが、これは依頼文の書き方で短縮できます。

急ぎの用件が出そうなら、契約前に2つだけ聞いておいてください。
最短でどれくらいで公開できるか、そして即日対応に追加料金がかかるかどうかです。

頼むかどうかは、更新頻度から逆算する

頼むかどうかは、更新頻度から逆算する

判断の基準は難しく考えず、更新の頻度と、その更新を自分で担えるかどうかです。

月に更新の用件が発生しないなら不要です

次のどれかに当てはまるなら、月額の更新代行は要りません。

一つ、そもそも月に更新する用件が発生しません。
サービス内容も料金も何年も変わらず、直すところがないサイトは実際にあります。
そこに毎月お金を払う理由はありません。

二つ、更新のタイミングが年1回など予測できていて、そのときだけスポットで頼めば足ります。
料金改定の時期が決まっているなら、月額を12か月分払うより都度払いのほうが安く収まります。

三つ、更新内容を自分で決められます。
さきほどの良い依頼文が書けるなら相談の部分は要らず、作業だけの依頼なら格安帯でも用は足ります。

四つ、社内に更新できる時間とスキルを持った人がいます。
兼任でも構いません。
手が動く人がいるなら、外に出す必要はありません。

当てはまる項目が多いほど、自社更新で問題ありません。

更新したいのに止まっているなら外に出す番です

逆に、頼んだほうがいいのはこういう方です。
ITの知識がなく、更新したい気持ちはあるのに手が止まってしまいます。
そして、そのまま何か月も更新が止まっています。

更新が止まること自体は、検索順位には直接ひびきません。
Googleのジョン・ミューラー氏は、更新頻度は直接のランキング要因ではないという趣旨の発言をしています。
誤字を1文字直したところで順位が上がるわけではありません。

問題は順位ではなく、サイトを見た人の受け取り方です。
去年のキャンペーンや古い営業時間がそのまま出ていると、この会社はいま動いているのだろうかと考える人がいます。

セキュリティの話は「保守込み」の場合に限ります

更新が止まっているサイトのセキュリティを心配する声もあります。
ここは正確に書きます。

まず、更新代行の契約だけでは、セキュリティ対応は含まれません。
記事の前半で整理したとおり、それは保守の領域なので、更新代行を頼んでいるから安心という理解は間違いです。

そのうえで、保守も含めて依頼するかを考える材料を書きます。
2024年に登録されたWordPress関連の脆弱性は8,223件で、前年比およそ68%増でした(Wordfence 2024年統計レポート)。
このうち96%がプラグインに起因していて、コア本体に起因するものは5件です。
リスクの大半は、入れっぱなしのプラグインに集中しています。

国内では、JPCERT/CCの活動四半期レポート(FY2024 Q3・2024年10〜12月)では、Webサイト改ざんの報告が53件記録されています。
これはJPCERT/CCに届け出があった件数で、実際の発生数はこれより多いと考えられます。
ただ、毎週のように身近で起きるという規模の話でもありません。

判断としてはこうなります。
プラグインの更新を自分で定期的にできるなら、保守を外に出す必要はありません。
その更新ボタンを押す人が社内にいないなら、更新代行だけでなく保守込みで頼む意味があります。

よくある質問

スポット依頼と月額、どちらが得ですか

更新の回数だけで比べるなら、上に書いた割り戻しで計算できます。
ただし月額プランには、更新以外のものが含まれていることがあります。
相談窓口として使えるか、保守が入っているか、緊急時に連絡が取れるかを見てください。
このあたりを含めて比べないと、金額だけの比較は意味を持ちません。

更新内容をこちらで決められないときも相談できますか

業者によります。
作業のみを受ける形のサービスでは、決まっていない依頼は受けられないことが多いです。
契約前に「内容の相談から乗ってもらえるか」を確認してください。

まとめ

更新代行の実態は、誤字を直し、写真を差し替え、料金表を書き換えるという地味な作業の積み重ねです。
その一つひとつは、あなたが自分でもできる作業かもしれません。

だから判断の基準は「自分にできるかどうか」ではありません。
その作業を自分でやる時間と気疲れを、月いくらまでなら他人に渡したいかで決めてください。

月に更新の用件がなく、社内に触れる人がいるなら、外注は要りません。
更新したいのに何か月も止まっているなら、外に出す価値のある状態です。
金額を見るときは、1作業いくらに割り戻してください。
自分の11,000円のプランにも同じ計算をすると、月2回未満なら都度払いのほうが安いと出ます。

そのうえで、更新作業だけでなく「ITのことを気軽に聞ける相手」まで必要だと感じたなら、一度話を聞かせてください。
いまのサイトの状況を伺ったうえで、月額が必要か、都度払いで足りるかも含めてお答えします。

お問い合わせはこちら

この記事を書いた人

宮地 健太朗

Web制作・運用を中心に、
中小企業・個人事業主のWeb活用を支援しています。

現在は、東京のWebマーケティング会社にてエンジニアとして参画し、サイト制作・運用改善・業務効率化などを担当しています。

単なる制作にとどまらず、
「どうすれば使われ続けるか」「どう改善すれば成果につながるか」を重視し、実務に即した提案と実装を行っています。

専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明しながら、
一緒に考え、継続的に改善していくことを大切にしています。