最初に立場を明かしておきます。
私はLPもホームページも、その中間にあたる商品も、全部売っているWeb制作者です。
だからこの記事は、書きようによってはいくらでも「あなたにはLPが必要です」「いや両方作りましょう」という方向へ誘導できます。
そういう記事はすでに検索結果にたくさん並んでいます。
私はそれをやりません。
売っている側の人間が正直に書くと、むしろ「作らなくていい場合」まで書くことになるからです。
もうひとつ、先にお伝えしたい事実があります。
これまで相談に来てくれた発注者のなかで、「LPが欲しい」という言葉を使った人は一人もいませんでした。
みなさん口をそろえて「ホームページが欲しい」と言います。
ところが検索の世界では、「LP ホームページ 違い」と調べている人がたくさんいます。
調べる人はLPという言葉を使うのに、実際に発注する人はLPと言わない。
この非対称が、この記事でいちばんお伝えしたいところです。
用語の違いを丸暗記しても、あなたの発注は一歩も前に進みません。
本当に知りたいのは「自分は何を、いくらで作ればいいのか」のはずです。
その答えにたどり着くための順番を、制作の現場から書いていきます。
まず結論:LPかホームページかは「形式」ではなく「流入経路」で決まる

先に結論をお伝えします。
LPとホームページのどちらを作るかは、縦長1ページか複数ページか、という形式で決めるものではありません。
訪問者がどこから来るのか、つまり流入経路で決まります。
なぜ形式で決めてはいけないのか、という話をします。
多くの解説記事は「LPは縦長の1ページ、ホームページは複数ページ」と説明します。
この分け方は間違いではありませんが、判断の入口としては危険です。
ページ数から入ると、「じゃあ安そうな1ページのLPでいいか」という手段先行の発想になりやすいからです。
大事なのは、そのページに人がどうやってたどり着くのかです。
広告をクリックして来る人と、検索や紹介で来る人とでは、必要なページの形がまるで変わります。
ここでLPの設計思想に触れておきます。
LPは、ワンメッセージ・ワンターゲットで作るのが実務上の定石とされています。
ひとつのメッセージを、たった一人のターゲットに向けて絞り込む、という考え方です。
実務家の間で広く共有されている作り方であって、どこかの団体が定めた公式定義ではありません。
メッセージを一人に絞るということは、来てほしい人も絞るということです。
来てほしい人を絞るということは、その人だけを連れてくる流入経路が要ります。
その役割を担うのが広告です。
だからLPは広告とセットになります。
これがLPという道具の素性です。
一方で、この定番の二分法そのものが、実務ではだいぶ崩れてきています。
Adobeの日本語向け解説でも、ホームページは閲覧を目的とした場所、ランディングページはコンバージョン、つまり問い合わせや申し込みを目的とした場所、という趣旨で整理されています(出典:Adobe Japan公式ブログ「ランディングページとは?」)。
目的で分ける整理は今も有効です。
ただ現場では、1ページで会社概要も実績も問い合わせも完結させる「1ページ完結型のホームページ」が増えました。
逆に、複数ページを持ちながらSEOでの集客を狙う「サイト型LP」も登場しています。
1ページだからLP、複数ページだからホームページ、という見た目の線引きは、もう実態に追いついていません。
だからこそ、形式ではなく「どこから客を呼ぶか」で決める、という順番が効いてきます。
LPとホームページの違いを表で整理する

ここで一度、両者の違いを表にまとめます。
表はスマートフォンだと横に崩れて読みにくくなりがちなので、先に要点だけ言葉でお伝えします。
一番の違いは目的です。
LPは問い合わせや申し込みという一点に絞り込み、ホームページは会社やサービスの全体像を伝えて信頼を積み上げます。
そこから、集客経路も費用感も、設計の思想もすべて枝分かれしていきます。
| 比較項目 | LP(ランディングページ) | ホームページ |
|---|---|---|
| 主な目的 | 問い合わせ・申し込みに絞る | 情報提供・信頼構築 |
| ページ構成 | 縦長1ページが基本 | 複数ページを回遊 |
| 主な集客経路 | 広告が中心 | 検索・指名検索・紹介 |
| メッセージ設計 | 一人に絞る(ワンメッセージ) | 幅広い相手に複数の情報 |
| 費用の目安 | 数十万円台が中心 | 内容により大きく変動 |
| 向くケース | 広告で特定の商品を売りたい | 会社の顔として長く使いたい |
数字も少し添えておきます。
Unbounceの「Conversion Benchmark Report 2024」では、LPの全業界のコンバージョン率の中央値は6.6%でした(4万1000以上のLP・約4億6400万訪問者を分析、2024年)。
100人が来て6人から7人が問い合わせや申し込みに進む、という水準です。
一方でホームページは情報提供が主目的なので、同じ物差しで直接くらべること自体が向いていません。
指標の置き方からして別物、と考えておくと迷いません。
会社側の前提も押さえておきます。
総務省の「通信利用動向調査(企業編)」によると、企業全体のホームページ開設率は令和5年で93.0%でした(令和2年時点では90.1%)。
企業のほとんどがホームページを持っている時代です。
つまりホームページは「持っているのが当たり前」の土台になりつつあります。
費用についても触れます。
ここでお伝えする金額は、あくまで一般的な目安として読んでください。
株式会社ユーティルがWeb幹事経由の実取引データをまとめた調査では、LP制作費の平均は55.4万円、中央値は40.0万円で、60万円以下が約7割を占めていました(調査期間2022年1月〜2023年12月)。
制作会社側への取材データでは、JetB株式会社(優良WEB)が46社に取材した調査で、平均は約46.4万円、最も多い価格帯は30万〜60万円でした(2024年7月公開)。
どちらの調査でも、標準的なLP制作は30万〜60万円あたりに落ち着いています。
ここで注意してほしいのは、この金額は「作る費用」だけだという点です。
LPを動かすための広告費は、この中に一切入っていません。
その話は後半でくわしく書きます。
そもそもサイトが要らないケースもあります

違いを表で押さえたところで、売っている側として正直に書いておきたいことがあります。
LPもホームページも、どちらも作らなくていいケースが実際にあります。
たとえば、Googleビジネスプロフィール、つまりGoogleマップ上の店舗情報と、InstagramなどのSNS、それにLINE公式アカウント。
この3つだけで集客から予約・問い合わせまで回っている業態は珍しくありません。
近所のお客さんが中心の飲食店や美容室、教室などがこれにあたります。
マップで見つけてもらい、SNSで雰囲気を伝え、LINEで予約を受けます。
この流れが機能しているなら、そこに数十万円かけてサイトを足しても、売上はほとんど動きません。
作るべきなのは、サイトよりも先に、この3つの接点を丁寧に整えることです。
受注する側の私がこれを書くと、その分の仕事は減ります。
それでも書くのは、前に頼んだところでうまくいかず、Web業界そのものに不信感を抱えたまま相談に来る方が、これまで何人もいたからです。
まず、あなたのお客さんがどこからやって来るのかを見てください。
すでに回っている経路があるなら、サイトはその後で十分です。
LPは「広告とセット」で、しかも数ヶ月かけて動きます

ここが、この記事でいちばん誤解を解いておきたいところです。
結論から書きます。
LPを単体で作っても、人はやって来ません。
そして広告を回し始めても、すぐには成果が出ません。
理由は前半で書いたとおりです。
LPはメッセージを一人に絞る道具なので、その一人を連れてくる広告がなければ、ただの誰も見ないページになります。
LPはテキスト量が少なく、ページ数も少ないので、検索で自然に見つけてもらう力は弱いのです。
そこで、私自身の話を正直に書きます。
私はいま、自分が提供しているMEO、つまりGoogleマップの検索対策を支援するサービスの案内用にLPを1枚作り、そこへGoogle広告を1ヶ月ほど回しています。
正直なところ、まだ集客の手応えははっきり掴めていません。
念のため書いておくと、これは私一人の、たった1件の事例で、しかもまだ1ヶ月の話です。
だからこの体験から「LPは無駄だ」と結論づけるつもりはまったくありません。
私が伝えたいのは、その逆です。
LPで成果を出すには、制作費に加えて、毎月の広告費を数ヶ月は投じ続ける覚悟が要る、ということです。
多くの解説記事は制作費の相場までしか書きません。
けれど発注者にとっての本当の総額は、制作費に「広告費×数ヶ月」を足したものです。
たとえばLPを40万円で作ったとして、そこに広告費が毎月かかり、それを数ヶ月続けて、ようやく反応を見ながら改善していく段階に入ります。
短距離走のつもりで始めると、まず息切れします。
なぜ数ヶ月かかるのかというと、広告は出した初日から最適な状態で当たるわけではないからです。
どんな言葉に、どんな人が反応するのかを見ながら、広告の見せ方もLPの中身も少しずつ直していきます。
その調整を回すには、ある程度の期間ぶんの反応データが要ります。
だから「作って終わり」でも「出して終わり」でもなく、しばらく付き合う前提で予算を組んでおくと安心です。
LPは、広告予算と数ヶ月の時間がそろって初めて選ぶ道具です。
そこが用意できないうちは、無理に手を出さないほうが、お金も気持ちも守れます。
現場のリアル:発注者は誰も「LP」と言いません

冒頭に書いた非対称の話に戻ります。
検索では「LP ホームページ 違い」と調べる人が大勢います。
けれど、私のところへ相談に来る発注者で「LPが欲しい」と言った人は、これまで一人もいません。
みなさん「ホームページが欲しい」と言います。
この差はどこから来るのでしょうか。
私の実感では、多くの人にとっての「ホームページ」は、Web上の自分の居場所全般を指すざっくりした言葉です。
LPという業界用語は、そこにわざわざ立ち入る必要のない言葉なのだと思います。
だから私は、廉価版として「LP型ホームページプラン」という商品を用意しています。
税込165,000円で、縦長1ページのLPの形をしたホームページを作るプランです。
これも私が売っている商品なので、その前提で読んでください。
このプランを出しているのは、「お金はないけれど、ホームページは欲しい」という相談がとても多いからです。
複数ページのホームページをきちんと作ると、どうしても費用は上がります。
そこまでの予算はないけれど、Web上に一枚、ちゃんとした顔がほしい。
そういう人に向けた、割り切った選択肢です。
念のため書き添えると、「純粋にLPだけ作りたい」という相談には、私はまだ一度も出会っていません。
LPという形は、あくまで予算に合わせた手段として選ばれているだけで、目的として指名されることはない、というのが現場の実感です。
あなたはどちらを作るべきか、そしてLP型が向かないケース

判断の軸は、これまで書いてきたとおりシンプルです。
形式ではなく、流入経路から逆算します。
広告を出す予算と覚悟があり、売りたい商品やサービスがひとつに絞れているなら、LPが合います。
検索や指名検索、紹介からじっくり信頼してもらって選ばれたいなら、複数ページのホームページが合います。
まだ流入経路が決まっていないなら、どちらを作っても機能しません。
先に「どこから客を呼ぶか」を決めるのが順番です。
ホームページそのものの役割については、ここでは深追いしません。
作る前にどの役割を持たせるかを決めたい方は、ホームページの役割を整理した記事をご覧ください。
集客できるホームページに何が必要なのかは、集客できるホームページの特徴をまとめた記事にあります。
作ったのに問い合わせが来ない、という状態に心当たりがあるなら、ホームページで集客できない原因を書いた記事も参考になります。
最後に、自分で売っている「LP型ホームページプラン」が向かないケースも、正直に書いておきます。
ひとつめは、指名検索やSEOからの流入がすでにある場合です。
自然に人が来る導線があるなら、1ページに絞るより、複数ページで受け止めたほうが取りこぼしが減ります。
ふたつめは、商材が複雑で、いくつもの説明ページや導線が必要な場合です。
サービスの種類が多かったり、検討に時間がかかる商品だったりすると、1ページには収まりきりません。
みっつめは、広告予算を数ヶ月ぶん確保できない場合です。
LPの形は広告と組み合わせて初めて力を出すので、広告に回すお金の見通しが立たないうちは、選ばないほうが安全です。
このどれかに当てはまるなら、私は自分の廉価プランをおすすめしません。
まとめ:用語より「どこから客を呼ぶか」を先に決める

LPとホームページの違いは、目的と流入経路でくっきり分かれます。
問い合わせや申し込みに絞って広告で連れてくるのがLP、会社の顔として検索や紹介で選ばれるのがホームページです。
けれど、この違いを丸暗記しても、あなたの発注はまだ前に進みません。
本当に先に決めるべきなのは、用語の意味ではなく「どこから客を呼ぶか」です。
流入経路が決まれば、作るべき形は自然と決まります。
広告を回すならLP、検索や紹介ならホームページ、まだ経路が定まっていないなら、そこを固めるのが先です。
そして、売っている側の私から正直に言えば、場合によっては、どちらも今すぐは要らないこともあります。
もし発注の順番や進め方で迷ったら、ホームページ制作を依頼する流れをまとめた記事も用意しています。
作る形を決める前に、集客の入口から一緒に考えたい方は、お問い合わせからお気軽にご相談ください。
よくある質問
LP単体では、基本的に集客はできません。
LPはメッセージを一人に絞る道具なので、その一人を連れてくる広告がないと、見てもらえないままになります。
集客したいなら、LPの制作費に加えて、毎月の広告費を数ヶ月ぶん見込んでおいてください。
作る費用だけを比べれば、1ページで済むLPのほうが安く上がることが多いです。
LP制作費の目安は30万〜60万円あたりが中心です(株式会社ユーティルほかの調査)。
ただしLPは広告費が別途かかるので、動かし続ける総額で見ると、必ずしも安いとは言い切れません。
縦長1ページのLPの形をしたホームページを、税込165,000円で作る当社の廉価プランです。
「予算は限られているけれど、Web上にちゃんとした顔がほしい」という方に向けています。
指名検索やSEOでの流入がすでにある場合や、説明ページが多く必要な複雑な商材には向きません。
私の実感では、多くの人にとって「ホームページ」がWeb上の自分の居場所を指す一般的な言葉だからです。
相談に来る発注者はほぼ全員「ホームページが欲しい」と言い、「LPが欲しい」と言った人にはまだ出会っていません。
LPはあくまで、予算や目的に合わせて制作側が選ぶ手段の呼び名だと考えておくと、話がかみ合います。
流入経路で決めてください。
広告を出す予算と数ヶ月の覚悟があるならLP、検索や紹介から選ばれたいならホームページが起点になります。
どちらとも決めきれないうちは、作る前に「どこから客を呼ぶか」を先に固めるのが、遠回りに見えていちばんの近道です。
出典一覧
- Unbounce「Conversion Benchmark Report 2024」(4万1000以上のLP・約4億6400万訪問者を分析)
- 総務省「通信利用動向調査(企業編)」(企業のホームページ開設率、令和5年・令和2年)
- 株式会社ユーティル「Web幹事」LP制作費調査(調査期間2022年1月〜2023年12月)
- JetB株式会社「優良WEB」LP制作費調査(46社取材・2024年7月公開)
- Adobe Japan 公式ブログ「ランディングページとは?」
