「お金をかけて作ったのに、問い合わせが一件も来ない」
そういう相談を、私はこれまで何度も受けてきました。
私はフリーランスのWebエンジニアで、Web制作と保守・運用を本業にしています。
新しく作る仕事だけでなく、他社が作ったサイトを引き継いで直す仕事も多いので、うまくいかなかったサイトを内側から見る機会が人より多いほうだと思います。
その経験から先に結論をお伝えします。
ホームページの失敗は「制作前」「制作中」「公開後」のどこかで必ず起きています。そして厄介なのは、原因を「誰の責任か」まで切り分けないと、リニューアルしても同じ失敗を繰り返すことです。
この記事では、失敗を3つのフェーズに分けて自己診断できるように整理し、それぞれが発注側・制作側どちらの問題なのかを正直に切り分けます。
そのうえで、すでにうまくいっていないサイトをどう立て直すかまで、制作を受ける側の視点でお話しします。
まず自己診断:ホームページの失敗は3つのフェーズのどこかで起きている

失敗事例を並べた記事はたくさんありますが、「自分がどこでつまずいたのか」がわからないと対策の打ちようがありません。
そこでまず、失敗が起きるタイミングを3つのフェーズに分けて整理します。
- 制作前フェーズ:目的やターゲットが決まっていない段階のつまずき
- 制作中フェーズ:業者選びや発注、進行でのつまずき
- 公開後フェーズ:作ったあとに放置してしまうつまずき
読み進めながら、自分のサイトがどのフェーズに当てはまるかを考えてみてください。
多くの場合、失敗はひとつのフェーズだけでなく、複数にまたがって起きています。
たとえば「目的が曖昧なまま安い業者に任せて、公開後は放置」という具合に、川上のつまずきが川下の失敗を呼び込む形になりがちです。
だからこそ、一番上流のどこで最初のボタンを掛け違えたのかを見つけることが、立て直しの出発点になります。
【制作前フェーズ】目的とターゲットが決まっていない失敗

一番上流で起きる失敗です。
ここでつまずくと、そのあとどれだけお金と手間をかけても成果につながりにくくなります。
目的があいまいなまま「とりあえず作る」
「同業他社が持っているから」「名刺に載せるURLが欲しいから」
こうした理由で、目的を決めないまま制作に入ってしまうケースです。
ホームページは、目的によって作るべき中身がまったく変わります。
問い合わせを増やしたいサイトと、求人応募を集めたいサイトと、既存客への案内が中心のサイトでは、載せる情報も導線もデザインも別物になります。
目的が定まっていないと、制作側も「無難に全部載せる」しかなくなり、結果として誰の心にも刺さらないサイトが出来上がります。
作る前に「このサイトで何を達成したいのか」を一文で言えるか、確認してみてください。
誰に届けるか(ターゲット)が定まっていない
目的とセットで抜けやすいのがターゲットです。
「幅広い層に見てほしい」という要望は一見よさそうに聞こえますが、実際には誰にも届かない原因になります。
たとえば同じ税理士事務所でも、相手が創業したての個人事業主なのか、従業員を抱える中小企業の経営者なのかで、響く言葉も見せる実績もまったく違います。
ターゲットが曖昧だと、キャッチコピーも料金の見せ方もぼやけてしまい、訪問した人が「これは自分向けのサービスだ」と感じられません。
決裁者が多く、方針が二転三転する
これは当事者の立場から正直にお伝えしたい失敗です。
社内で関わる人が多く、意見をまとめる人が決まっていないと、制作が途中で迷走します。
社長がAと言い、現場責任者がBと言い、あとから加わった役員がCと言う。
そのたびにデザインや構成を作り直すことになり、当初の目的がどんどん薄まっていきます。
制作を受ける側から見ると、こういう案件は完成しても関係者の誰も満足していないことが多いです。
作りはじめる前に「最終的に判断する人は誰か」を一人に決めておくだけで、失敗の確率はぐっと下がります。
【制作中フェーズ】発注と進行でつまずく失敗

目的とターゲットが決まっていても、業者選びと進め方でつまずくことがあります。
安さだけで業者を選ぶ
「3万円から」「格安でホームページ制作」といった価格に惹かれて、金額だけで決めてしまう失敗です。
私自身、独立直後に格安でサイト制作を受けていた時期があるので、受注側の内情はよくわかります。
安いのには必ず理由があります。
安さの正体は「見えない工程を削っている」ことにあり、具体的には次のような作業が省略されがちです。
- 検索結果に表示されるタイトルや説明文(メタ情報)の設定
- スマートフォンで見たときのレイアウト最適化
- 表示速度を上げるための画像圧縮や読み込みの調整
- 問い合わせフォームが実際に届くかの動作確認
- 公開後に別の人が引き継げるようにする設定情報の共有
これらは表からは見えないので、削られていても納品直後は気づきません。
けれど半年後に「スマホで崩れている」「フォームから送っても届いていなかった」といった形で表面化します。
安さの裏で何が削られるのかは、格安HP制作の裏側を制作者目線でまとめた記事で詳しく解説しているので、業者選びの前に読んでおくと判断材料になります。
なお、格安制作でとくに多いのが、ドメインやサーバーの契約を業者名義でされてしまうトラブルです。
契約を業者側で持たれていると、5年リースのような長期契約に縛られたり、解約と同時にサイトごと消えてしまったりすることがあります。
ドメインとサーバーは必ず自社名義で契約してください。
デザイン重視で「使いにくいサイト」になる
見た目の格好よさを優先するあまり、使いにくくなってしまう失敗です。
動きの派手なトップページや、凝ったアニメーション、大きな画像を全画面で見せる演出をよく見かけます。
こうした要素は印象には残りますが、表示が重くなったり、目的の情報にたどり着きにくくなったりします。
訪問者が本当に知りたいのは、料金や、対応エリアや、問い合わせ先です。
そこへの導線が装飾に埋もれてしまうと、見た目は立派でも成果の出ないサイトになります。
デザインは目的を達成するための手段であって、目的そのものではありません。
制作会社に丸投げしてしまう
「プロに任せておけば安心」と考えて、自社の情報も方針も渡さずに丸投げしてしまう失敗です。
制作側は事業のプロではありません。
その会社の強みや、お客さんがどんな言葉で悩んでいるかは、発注する側にしかわからない情報です。
丸投げされた制作側は、当たり障りのない一般論でページを埋めるしかなくなります。
結果として、どこかで見たような、その会社らしさのないサイトになってしまいます。
任せる部分と、自分たちが出すべき情報を分けて考えることが大切です。
制作者が一番困る発注パターン
ここは裏話として正直にお伝えします。
制作を受ける側が一番困るのは、次のような進め方です。
- 仕様が固まらないまま「とりあえず着手して」と発注される
- 制作がかなり進んだ段階で、根本にかかわる大幅な仕様変更が入る
- デザインの修正が「なんとなく違う」の一言で何度も繰り返される
こうなると、当初の見積もりでは収まらなくなり、追加費用の話が出て関係がぎくしゃくします。
発注側からすると制作側の都合に聞こえるかもしれませんが、これは発注側にとっても損なパターンです。
工数が膨らんだ分、細部を詰める余力が削られ、最終的な品質が下がるからです。
「決めてから発注する」を意識するだけで、費用も品質も安定します。
【公開後フェーズ】作って終わりで放置する失敗

ホームページは公開してからが本番です。
ところが、公開した時点で気持ちが完結してしまい、放置される例が非常に多いです。
私は保守・運用も本業にしているので、放置されたサイトが具体的にどうなるかをよく見ています。
更新が止まり、かえって信頼を落とす
放置は、単に成長しないだけでなく、積極的に信頼を損なうことがあります。
実際に引き継いだサイトで見てきた具体例をいくつか挙げます。
ひとつは、SSL証明書の期限切れです。
証明書が切れると、ブラウザに「この接続は安全ではありません」という警告が出て、訪問者はそこで引き返してしまいます。
次に、問い合わせフォームの故障です。
WordPressやプラグインの更新が止まった結果、送信ボタンを押しても運営者にメールが届かない状態になっていたサイトがありました。
問い合わせが来ないのではなく、来ていたのに届いていなかったわけです。
もうひとつは、Googleビジネスプロフィールとサイトの情報の食い違いです。
サイト側を修正したときに、Googleビジネスプロフィールの更新を忘れることで起きがちです。
営業時間や電話番号がサイトとGoogle上でバラバラになっていると、訪問者は「どっちが正しいのか」と不安になり、信用を失います。
こうした不具合は、月に一度見回るだけで防げるものばかりです。
検索で見つからない設計のまま
もうひとつの公開後の失敗が、そもそも検索で見つけてもらえない設計になっていることです。
見た目は整っているのに、検索エンジンに正しく認識される作りになっていない。
集客の導線が設計されておらず、訪問者が問い合わせまでたどり着けない。
こうしたサイトは、公開しても存在を知られないまま眠り続けます。
「作ったのに問い合わせが来ない」という悩みの多くは、この検索設計と導線設計の抜けが原因です。
なぜ問い合わせにつながらないのかを段階ごとに切り分けたい場合は、ホームページで集客できない原因を整理した記事が参考になります。
なお、集客が苦しくなると値下げで乗り切ろうとしがちですが、それが別の失敗を呼ぶこともあります。
値下げに頼る集客の危うさは値下げ集客の落とし穴をまとめた記事で触れているので、あわせて確認してみてください。
その失敗、誰の責任?発注者・制作側・双方で切り分ける

ここがこの記事で一番お伝えしたい部分です。
失敗を「誰の責任か」まで切り分けないと、対策の方向を間違えます。
制作側を替えれば解決する問題なのか、発注側の進め方を変えるべき問題なのか、両方なのか。
これを曖昧にしたままリニューアルすると、業者だけ替えて同じ失敗を繰り返すことになります。
制作を受ける側として、正直に振り分けてみます。
| よくある失敗 | 主な責任 |
|---|---|
| 目的・ターゲットが決まっていない | 発注者側 |
| 決裁者が多く方針が二転三転する | 発注者側 |
| 制作会社への丸投げ | 発注者側 |
| 仕様が固まらないまま発注 | 発注者側 |
| 安さの裏で何が削られるか説明しない | 制作側 |
| ドメイン・サーバーを業者名義で契約 | 制作側 |
| 使いにくいのに見た目だけ優先する提案 | 制作側 |
| 公開後のサポート範囲を曖昧にする | 制作側 |
| 目的の共有不足による方向性のズレ | 双方 |
| 公開後の放置(更新・保守の欠如) | 双方 |
こうして並べると、発注側と制作側の両方に原因があることがわかります。
「業者が悪かった」で終わらせると、次も同じ失敗をします。
逆に「全部自分の準備不足だった」と抱え込む必要もありません。
大事なのは、自分のサイトの失敗がこの表のどこに当てはまるかを見極めて、責任の所在に応じた手を打つことです。
たとえば公開後の放置なら、保守を頼める相手を決めるのが解決策です。
目的の不在なら、まず社内で目的を一文にまとめるのが先で、業者を替えることではありません。
すでに失敗しているホームページの立て直し方

ここまで読んで「うちはもう失敗している」と感じたかたもいると思います。
でも、大丈夫です。
作り直さなくても、順番を踏めば立て直せることは多いです。
制作の現場でやっている手順を、3つのステップに整理してお伝えします。
ステップ1:現状把握(何が起きているかを見る)
最初にやるのは、感覚ではなく事実を確認することです。
自分のサイトをスマートフォンで開いて、崩れていないか、表示は遅くないかを見てください。
問い合わせフォームから実際にテスト送信して、自分宛てに届くかを確かめてください。
SSLの警告が出ていないか、Googleビジネスプロフィールの情報とサイトの情報が一致しているかも確認します。
サーバーやWordPressの管理画面に入れない場合は、まずログイン情報の在りかを探すところからです。
このあたりの設定に不安があるなら、サーバーとWordPressの初期設定をまとめた記事が土台の理解に役立ちます。
ステップ2:原因の特定(どのフェーズの失敗かを切り分ける)
現状がわかったら、この記事の3フェーズと責任の表に当てはめます。
問題は制作前の目的設計にあるのか、制作中の作りにあるのか、公開後の運用にあるのか。
そして、それは発注側・制作側どちらの領域なのか。
ここを特定せずに手を動かすと、直す必要のない場所をいじって時間を浪費します。
ステップ3:優先順位をつけて1つずつ直す
原因が見えたら、全部を一度に直そうとしないことです。
成果への影響が大きく、かつ手間の小さいものから着手します。
たとえばフォームの故障やSSLの警告は、影響が大きいのにすぐ直せるので最優先です。
検索設計の見直しやコンテンツの追加は効果が大きい一方で時間がかかるので、土台を直したあとに腰を据えて取り組みます。
一気に作り直すより、効くところから一つずつ直すほうが、費用も抑えられて失敗も少ないです。
失敗しない依頼先の選び方:フリーランスと制作会社の使い分け

立て直しにしても新規制作にしても、誰に頼むかで結果は変わります。
ここは中立にお伝えします。
制作会社は、チームで動くので体制が安定し、大規模なサイトや複数人での進行に向いています。
その代わり、管理コストが上乗せされるため費用は高めになりやすいです。
フリーランスは、費用を抑えやすく、窓口が一人なので話が早いという利点があります。
一方で、対応できる範囲や品質が個人の力量に左右されるという面もあります。
どちらが優れているという話ではなく、自社の規模と目的に合うほうを選ぶのが正解です。
小回りの利く相談相手が欲しい中小企業なら、フリーランスが合うことも多いです。
フリーランスに頼む場合の判断材料はフリーランスに依頼するメリットとデメリットをまとめた記事に整理しています。
そもそも自分で作るべきか、プロに頼むべきかから迷っているなら、自作か外注かを比較した記事を先に読むと考えが整理できます。
よくある質問
依頼先によって幅があります。一般的な目安として、フリーランスで10万〜20万円、制作会社では中小規模で数十万〜300万円ほどが相場とされています(出典:Web幹事「ホームページ作成費用・制作費用の料金相場をプロが解説!相場早見表付き【2026年最新版】」web-kanji.com/posts/market-price)。クラウドソーシングを使えば数万円程度から依頼できることもありますが、その場合は含まれる作業範囲がぐっと狭くなります。金額そのものより、「なぜその価格なのか」を説明してもらえるかどうかが失敗を避ける分かれ目です。安い見積もりでも、何が含まれて何が含まれないかが明確なら問題ありません。逆に高くても内訳が曖昧なら注意が必要です。
原因を特定せずに見た目だけ新しくすると、同じ失敗を繰り返します。先にこの記事の3フェーズと責任の表で、どこでつまずいたのかを見極めてください。目的が定まっていないまま作り直しても、ぼやけたサイトが新しくなるだけです。リニューアルは、原因を特定したあとの手段として考えるのが順番です。
こちらの事業を理解しようとしてくれるかどうかです。制作の技術はもちろん大切ですが、目的やターゲットを一緒に整理してくれる相手のほうが、成果につながるサイトになりやすいです。専門用語で丸め込む相手より、こちらの状況を噛み砕いて説明してくれる相手を選んでください。契約前に、ドメインの名義、修正回数、公開後のサポート範囲を確認しておくことも忘れないでください。
そうとは限りません。名刺代わりの簡単なサイトで、検索からの集客を想定していないなら、格安制作でも十分に目的を果たせます。失敗しやすいのは、集客や問い合わせ獲得を狙っているのに、その設計を省いた格安プランで作ってしまう場合です。目的と価格が釣り合っているかどうかが判断の軸になります。
自社のホームページ、一度プロの目で診断しませんか?
ここまで読んで、「うちはどのフェーズでつまずいているんだろう」と気になったかたへ。
30分のオンライン無料診断を行っています。御社のホームページを一緒に拝見しながら、制作前・制作中・公開後のどこに原因があるかを見極めて、直すべきポイントを優先順位つきでお伝えします。
私はWeb制作と保守・運用を本業にしています。
だからこそ、制作会社が納品後には教えてくれない「その先」の課題が見えます。
売り込みの場ではありません。
まずは現状を一緒に整理する場として使っていただければと思います。
診断のあとで、月1.1万円からの保守や、公開後の改善サポートが必要そうなら、そのときにご案内します。
必要なければ「今はここだけ直せば十分です」と正直にお伝えします。
お気軽にお問い合わせください。
