集客の外注で失敗した後にやること|引き継ぐ側から見た本当の原因

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制作途中で担当者と連絡が取れなくなった医療系のお客さんを、引き継いだことがあります。

前任はフリーランスの方でした。
技術的に対応できなくなり、サイトが完成しないまま、音信不通になっていました。
相談に来られたお客さんは、かなり急いでいて、焦っている様子でした。
詳しい事情までは聞けませんでしたが、とにかく時間がないことだけは伝わってきました。
私はこの案件を引き継ぎ、最終的にデザインからすべて作り直しました。

「集客 外注 失敗」と検索したあなたは、いま同じような状況にいるか、これから外注するのが不安なのだと思います。

先に、私の立場を明かしておきます。
私は外注される側の、フリーランスのWebエンジニアです。
そしてこの記事の最後には、私への相談窓口を置いています。
外注で失敗した方の引き継ぎ相談を受けることは、私の仕事の一部です。
その利害関係がある前提で、読んでもらえたらと思います。

だからこそ、この記事で業者叩きはしません。
私自身、発注する側としても失敗しているからです。
外注したものを確認せずにそのままお客さんへ納品し、代金が支払われなかったことがあります。
外注は、受ける側も出す側も失敗します。
この記事では、その両側から見えた失敗の構造を書きます。

順番としては、失敗のパターン、本当の原因、失敗した後にやること、という流れで進めます。
すでに外注していて、いままさに困っている方は、途中を飛ばして「失敗した後にやること」の章から読んでください。

集客外注の失敗は4つのパターンに分かれる

集客外注の失敗は4つのパターンに分かれる

集客の外注でいう「失敗」は、成果が出ないことだけではありません。
引き継ぐ側から見てきた失敗の形は、大きく4つに分かれます。
自分がどれに近いかを確かめながら読んでみてください。

1. 成果が出ないまま月額費用だけ払い続ける

SEO対策(検索結果で上位に表示させる施策)の外注は、月額契約が中心です。
複数の民間事業者の公開料金をもとにした相場感でいうと、中小企業向けのSEO外注は月額10〜30万円、広告運用の代行手数料は広告費の15〜25%前後になります。
小さな会社にとって、決して軽い金額ではありません。

それなのに、順位も問い合わせも動かないまま、半年、1年と契約だけが続いてしまうケースがあります。
「もう少し続ければ変わるかもしれない」という期待が、やめる判断を先送りにするからです。
ここに、これまで払った金額を惜しむ気持ちが重なります。
やめてしまえば、いままでの支払いを無駄だったと認めることになるからです。
成果への期待と、支払った分への未練が重なると、判断は自然には下りません。
だからこそ、あとで書く「契約更新のタイミングで判断する」という区切りを、あらかじめ決めておいてください。

2. 何をやっているのか見えない

2つ目は、業者が何をしているのか分からない型です。
報告が来ない、来ても専門用語ばかりで判断できない、という状態です。

株式会社PLAN-Bの「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査 2026」(2025年3月実施・中小企業のマーケティング担当者200名対象)では、マーケティングを外部委託している中小企業は60.5%でした。
同じ調査で、外注への不満の上位には「提案内容が現場で実行できない」が26.0%、「事業・サービスへの理解が不足している」が24.5%と並んでいます。
外注そのものは当たり前になっているのに、中身の見えない外注が相当な割合で起きている、と読める数字です。
報告を求めても「順調です」としか返ってこないなら、この型に入りかけていると考えてください。

3. 担当者と連絡が取れなくなる

3つ目は、冒頭に書いた「担当者が飛ぶ」型です。
私が引き継いだ医療系のお客さんも、この型でした。

個人で動くフリーランスや小規模な事業者で起きやすい形ではあります。
一方で、会社に頼んでいても、担当者の退職や異動で実質的に同じことが起きます。
本質は、フリーランスか会社かという属性ではなく、その仕事が1人に属人化していて、引き継げる状態になっていないことにあります。
依頼先の属性ごとの向き不向きは、フリーランスと制作会社のどちらに頼むかを比較した記事で書いています。

4. 詐欺的な営業に引っかかる

4つ目は、相手がそもそも詐欺的な業者だった型です。
Googleは公式ヘルプ「不正な電話からの保護」で、「Googleと一緒に働いている」などと偽って各種マーケティングサービスを売り込む詐欺に警告を出しています。
あわせて、Googleが自動音声の電話でサービスへの登録や金銭の支払いを求めることはない、とも明言しています。
Googleを名乗る電話営業から集客サービスを契約してしまった場合は、この型を疑ってください。

どの型に当てはまるかで、読むべき場所が変わります。
1と2の方は「失敗した後にやること」の撤退基準を、3の方は音信不通への対処を、4の方は解約と相談先の部分を中心に読んでください。

制作途中で担当者が飛んだ、医療系のお客さんの話

制作途中で担当者が飛んだ、医療系のお客さんの話

冒頭の医療系のお客さんの話を、引き継いだ側の目線でもう少しだけ書きます。

困るのは「何が渡されていないか」が分からないこと

相談を受けた時点で、サイトは制作途中のまま止まっていました。
前任のフリーランスの方は技術的に対応できなくなり、そのまま連絡が取れなくなっていました。

引き継ぐ側として最初に突き当たるのは、何がどこまでできていて、何が渡されていないのかが分からないことです。
作りかけのデータはどこにあるのか。
使っていい素材はどれなのか。
それが分からないと、続きから作ることも、正確な見積もりを出すことも本来はできません。
前任者に聞けば数分で済むはずの確認も、連絡が取れなければ、ひとつずつ調べ直すしかなくなります。
この案件では、最終的にデザインからすべて一新する判断をしました。

急いでいるお客さんにとって、この「分からない期間」がいちばん苦しい時間になります。
外注の失敗は、お金の損失だけでなく、時間の損失としても現れます。

なお、制作の工程ごとにどんな失敗が起きやすいかは、ホームページ制作でよくある失敗をまとめた記事で書いています。

私自身も、発注する側で失敗しました

もうひとつ、私自身の失敗も書いておきます。

以前、仕事の一部を外注したとき、上がってきたものを確認せずに、そのままクライアントへ納品したことがあります。
これは本当に良くなかったです。

質が低く、代金は支払われませんでした。
結局、支払われないまま終わっています。
外注先のせいにしたい気持ちがなかったわけではありませんが、責任者は私です。
品質確認を怠った以上、そこは割り切るしかありませんでした。

外注は、受ける側も出す側も失敗します。
この記事は誰かを責める話ではなく、失敗が起きる構造の話として読んでください。

失敗の本当の原因は「安さ」でも「丸投げ」でもない

失敗の本当の原因は「安さ」でも「丸投げ」でもない

外注の失敗談には、決まった教訓がついてきます。
「安い業者を選んだのが悪い」「丸投げしたのが悪い」というものです。
どちらも間違いではありませんが、私の実感では、それらは症状であって根っこではありません。
根っこにあるのは、相手に責任感があるかどうかです。

9割近くが失敗を経験する市場で、選び方の技術だけを磨いても追いつかない

アルサーガパートナーズ株式会社の「ホームページ制作の実態調査」(2024年8月実施・550名対象)では、ホームページ制作を外注した担当者の87.7%が失敗を経験したと回答しています。
ここまで失敗率が高いと、「見る目のない一部の人が失敗している」という説明は成り立ちません。
選び方のチェックリストは世の中に山ほど出回っているのに、それでも9割近くが失敗しているわけです。

安さも丸投げも、責任感の欠如が表に出た症状です

先ほどのPLAN-B調査で、不満の上位は「提案内容が現場で実行できない」「事業・サービスへの理解が不足している」でした。
私はこの2つを、能力の問題というより、当事者性の問題だと見ています。
相手の事業を自分ごととして理解しようとしていれば、現場で実行できない提案は出しにくいからです。

冒頭の前任フリーランスの方も、技術的にできなくなった時点で「できません」と伝えていれば、失敗はあそこまで大きくならなかったはずです。
できないことは、誰にでもあります。
できないと伝えずに消えることを選んだ点に、責任感の欠如が現れています。

発注側にも、半分の原因があります

責任感の話は、業者側だけの話ではありません。
私の未払いの一件は、外注先の品質の問題である以前に、確認せずに納品した私の問題でした。

丸投げが悪いとよく言われますが、正確には、確認の仕組みを持たないまま任せきりにする構造が問題です。
外注先が動きやすいように、情報を渡します。
上がってきたものに、目を通します。
気になった点は、その場で聞きます。
どれも地味な作業ですが、この積み重ねが失敗の半分を防ぎます。

これはあなたを責めるための話ではありません。
私も同じ側で失敗しているからこそ、次の外注では「安い業者を避ける」ではなく、「相手の責任感を見る、そして自分も確認を手放さない」を対策にしてほしいのです。

失敗した後にやること

失敗した後にやること

ここからが、この記事の中心です。
失敗に気づいた後の初動で、損失の大きさが変わります。
順番にやってください。

手順1. 契約と成果物を棚卸しする

最初にやるのは、感情の整理でも業者への抗議でもなく、現状の棚卸しです。
確認する対象は次の4つです。

  • 契約書(契約期間・解約条項・成果物の権利の定め)
  • これまでの納品物と報告書
  • アクセス解析や広告などのアカウントの権限
  • サーバーとドメインの契約名義

アカウントの権限は、誰のメールアドレスで登録され、誰が管理者になっているかまで確認してください。
業者側のアドレスで登録されていると、契約が終わった後にデータごと見られなくなる場合があります。
納品物と報告書は、月次レポートのファイルや、やり取りのメールも含めて1か所に集めてください。
次の依頼先に渡す資料になるのはもちろん、解約や返金の話し合いが必要になったときの記録にもなります。

とくに見落とされるのが、最後の名義です。
サーバーやドメインの名義が業者側にあると、解約した瞬間にサイトごと動かせなくなる場合があります。
詳しくはサーバーとドメインを自社管理にすべき理由を書いた記事を確認してください。

医療系のお客さんの案件でも、私が最初にやったのは現状調査でした。
何が残っていて、何がないのか。
それが分かるまでは、次の一手を正しく決められないからです。

手順2. 続けるかどうかは「契約更新のタイミング×3つの問い」で決める

成果が出ていない契約をいつまで続けるかという撤退の判断に、一律の数値基準は書きません。
業種や施策によって、成果が出るまでの期間が本当に違うからです。

代わりに、契約更新のタイミングで、次の3つを相手に聞いてください。

  1. この期間に何をやったのか、説明できますか
  2. その結果、数字はどう動きましたか
  3. 次の期間は、何をやりますか

3つとも具体的な答えが返ってくるなら、成果がまだ出ていなくても、続ける検討の余地があります。
3つとも曖昧な答えしか返ってこないなら、更新しないことをすすめます。
説明できないのは、施策が存在しないか、あなたの事業を自分ごとにしていないかの、どちらかだからです。

この3つは、相手を責める質問ではありません。
続けるかどうかを判断する材料を集める質問なので、感情的にならずに聞けます。

手順3. 解約と引き継ぎを進める

解約を決めたら、契約書の解約条項を確認したうえで、成果物とアカウントの引き渡しを依頼します。
サイトのデータ、制作物、広告やアクセス解析のアカウント権限、Googleビジネスプロフィールの管理権限が対象です。
渡してもらえる範囲は契約内容に左右されるので、解約を伝える前に契約書を読み込んでください。
契約書のどこを見ればいいかは、ホームページ制作の契約トラブルを解説した記事にまとめています。

引き渡しの依頼は、口頭ではなくメールなどの文面で行ってください。
渡してほしいものを一覧にして送ると、抜け漏れも、言った言わないのすれ違いも防げます。
あわせて、解約を切り出す前に、引き継ぎ先をどうするかを決めておいてください。
次の依頼先が決まらないままサイトや広告が止まると、困るのは自分だからです。
引き継ぎ先の候補に現状を見てもらい、移行の段取りを確認してから解約を伝える順番をすすめます。

手順4. 相手が音信不通になっている場合

連絡が取れない場合は、連絡を試みた日時と内容の記録を残しながら進めてください。
記録は、後で誰かに相談するときの材料になります。

知っておいてほしい制度がひとつあります。
フリーランス保護新法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)が、2024年11月1日に施行されました。
フリーランスとの取引について、発注側にも取引条件の明示といった義務を定めた法律です。
公正取引委員会と厚生労働省の「フリーランス取引の状況についての実態調査」(2024年10月公表)では、発注側の54.5%がこの法律の内容を知らないと回答しています。
外注トラブルの当事者になったとき、関係する制度を知らないままだと、判断のすべてが手探りになります。

ひとりで抱えるより、状況を整理して相談できる相手を持つほうが、立て直しは早く進みます。
集客の相談先にどんな選択肢があるかは、集客の相談先を類型ごとに整理した記事で書いています。

次の外注で同じ失敗をしないために

次の外注で同じ失敗をしないために

次の外注先を探すとき、契約の前に必ずやってほしいことがひとつだけあります。
Google Meetでも対面でもいいので、相手と直接話してください。
受注側として商談の場に立ってきた実感として、質問への答えがずれる人や、こちらの話を聞かずに一方的にしゃべる人は、仕事が始まってからも同じすれ違いを起こします。
対話の中で覚えた違和感は、当てずっぽうではなく、判断材料です。

体系的な選び方や契約前の見抜き方は、集客パートナーの選び方を解説した記事で詳しく書いています。

まとめ:違和感を無視しないことが、いちばんの防御です

まとめ:違和感を無視しないことが、いちばんの防御です

集客外注の失敗は、月額を払い続ける型、中身が見えない型、担当者が飛ぶ型、詐欺的営業の型の4つに分かれます。
根っこにあるのは安さや丸投げではなく、相手の責任感と、発注側の確認の仕組みです。
そして失敗した後は、棚卸し、更新時の3つの問い、解約と引き継ぎ、音信不通への対処の順で動いてください。

最後に、私の本音を書きます。
外注先は、まず信頼できる人かどうかで判断すればいいと考えています。
直感でいい、とすら思っています。
ただし、ここでいう直感とは、当てずっぽうのことではありません。
対話の中で感じた違和感を、無視しないことです。

過去に直感で選んで失敗したとしても、あなたの感覚が鈍かったわけではありません。
違和感に気づいていたのに時間や予算の事情で押し切ってしまったか、契約前に対話の機会そのものがなかったか、そのどちらかである場合がほとんどです。

私は、担当者が飛んだ後のサイトを実際に引き継いできた立場です。
外注で失敗した後の立て直しや、引き継ぎの相談も受けています。
現状の棚卸しを手伝うところからで構いませんので、ひとりで抱えている方はお問い合わせから状況を聞かせてください。

よくある質問

外注先が音信不通になりました。支払ったお金は返ってきますか

契約内容と作業の進み具合によって変わるので、断定はできません。
まず契約書の解約や返金に関する条項を確認し、連絡を試みた記録を残してください。
当事者同士での解決が難しい場合は、消費生活センターや弁護士といった外部の相談先を使う選択肢があります。

SEO業者との長期契約は、途中で解約できますか

契約書の解約条項によります。
最低契約期間や違約金の定め、解約を申し出る期限(更新月の何か月前までか)を確認してください。
条項の内容によっては、更新のタイミングまで待つほうが負担の少ない場合もあります。

外注をやめて、自社でやるべきですか

人材が確保できるなら、選択肢になります。
一方で、東京商工会議所の「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2025年1月)では、62.2%の中小企業がデジタル人材を確保できていないと回答しています。
内製が現実解にならない会社のほうが多い、というのが実情です。
自社でできる部分と外注する部分を分ける形も含めて、体制から考えることをすすめます。

新しい業者に引き継ぐとき、何を渡せばいいですか

手順1の棚卸しリストが、そのまま引き継ぎリストになります。
前任との契約書、これまでの納品物と報告書、アクセス解析や広告のアカウント権限、サーバーとドメインのログイン情報と名義です。
すべてそろっていなくても問題ありません。
何が無いのかが分かっているだけで、引き継ぎ先の調査は大幅に速くなります。


出典一覧

  • アルサーガパートナーズ株式会社「ホームページ制作の実態調査」(2024年8月実施・回答550名)
  • 株式会社PLAN-B「中小企業のマーケティング体制と外注活用の実態調査 2026」(2025年3月実施・回答200名)
  • 公正取引委員会・厚生労働省「フリーランス取引の状況についての実態調査」(2024年10月公表)
  • 東京商工会議所「中小企業のデジタルシフト・DX実態調査」(2025年1月)
  • Google ビジネスプロフィール ヘルプ「不正な電話からの保護」
  • SEO外注・広告運用の費用は、複数の民間事業者の公開料金をもとにした一般的な相場感です

この記事を書いた人

宮地 健太朗

Web制作・運用を中心に、
中小企業・個人事業主のWeb活用を支援しています。

現在は、東京のWebマーケティング会社にてエンジニアとして参画し、サイト制作・運用改善・業務効率化などを担当しています。

単なる制作にとどまらず、
「どうすれば使われ続けるか」「どう改善すれば成果につながるか」を重視し、実務に即した提案と実装を行っています。

専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明しながら、
一緒に考え、継続的に改善していくことを大切にしています。