ホームページの保守は本当に必要か?現役Web制作者が「いらないケース」も正直に答える

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「ホームページの保守って、本当にお金を払う価値があるのか」。この記事を開いたということは、毎月の保守費用を見ながら一度はそう思ったことがあるのだと思います。

最初に、隠さず打ち明けておきます。私はホームページの制作だけでなく、保守や運用も請け負っているフリーランスのWebエンジニアです。つまり「保守は必要ですよ」と言えば、自分の仕事が増える立場にいます。

だからこそ、この記事では保守が「いらないケース」も正直に書きます。必要でもない人にまで契約をすすめるのは、長い目で見て自分の信用を削るだけだからです。

「ホームページの保守は必要か」という問いは、実はかなり曖昧です。保守という言葉には複数の作業が含まれていて、そのうちどれを自分でできて、そのサイトが事業にとってどれだけ重要かによって、必要な範囲は人それぞれ変わります。全部を外注するのも、全部を放置するのも、どちらも正解ではありません。

この記事を読み終えるころには、あなたのサイトに保守がどこまで必要か、自分で判断できるようになっているはずです。

そもそも「保守」とは何か|運用との違いと作業の内訳

ホームページ保守とは何か(作業の内訳)

保守という言葉が曖昧なまま議論すると、話がかみ合いません。まずは中身を分解します。一般に「保守」と呼ばれる作業は、おおよそ次の6つに分けられます。

1つ目はインフラ管理です。ドメインの更新、サーバーの契約管理、SSL証明書の維持などが含まれます。これらはサイトを表示し続けるための土台にあたります。

2つ目はセキュリティ更新です。WordPress本体やプラグインを最新に保つ作業、改ざんを検知する仕組みの運用などが該当します。

3つ目はバックアップです。定期的にデータを取得し、いざというときに元の状態へ戻せるようにしておく作業です。

4つ目は死活監視と障害対応です。サイトが落ちていないかを見張り、止まったときに復旧する役割を担います。

5つ目はコンテンツ更新です。文章や画像の差し替え、新しいページの追加などがここに入ります。

6つ目は解析と改善です。アクセス状況を見ながら、問い合わせや売上につながる形にサイトを育てていく作業です。

ここで一つ区別したいのが、保守と運用の違いです。保守は「動いている状態を維持する」作業を指します。一方で運用は「サイトを育てる、更新して価値を高める」作業に近いです。上の6つでいえば、1から4までが保守寄り、5と6が運用寄りだと考えるとわかりやすいです。

保守が必要かどうかを考えるときは、この6項目のうち自分にとってどれが要るのかを切り分けることから始まります。

まず結論|保守が「いらない人」と「必要な人」

保守がいらない人と必要な人の見分け方

誠実に書くと決めたので、不要なケースから先にお伝えします。以下に当てはまる人は、月額の保守契約をわざわざ結ばなくても問題ないことが多いです。

保守がいらない人の特徴は、次のとおりです。

  • WixやSTUDIO、ペライチといったSaaS型のサービスでサイトを作っている
  • 更新もフォームもECもない、名刺代わりの静的なサイトを使っている
  • 社内にWebをある程度わかる担当者がいる

一つ注意したいのが、SaaS型サービスの位置づけです。WixやSTUDIOで作ったサイトは「保守が無い」わけではありません。サーバーの管理やセキュリティの更新を、プラットフォーム側が裏側で肩代わりしてくれています。保守が無いのではなく、あなたから見えないだけです。月額利用料の中に保守費用が最初から溶け込んでいる、と考えると正確です。

反対に、保守が必要な人の特徴はこちらです。

  • WordPressでサイトを構築している
  • 問い合わせフォームやEC、個人情報の入力を扱っている
  • サイトが集客や売上に直結している

判断に迷ったら、まず自分のサイトのCMS種別で分岐してみてください。SaaS型(Wix・STUDIO・ペライチなど)なら、追加の保守契約は基本的に不要です。WordPressのように自分でサーバーに設置するタイプなら、何らかの保守が要ります。ここが最初の分かれ道になります。

そのうえで、下のチェックリストで自己診断してみてください。

  • WordPressを使っている
  • フォームやECで個人情報を受け取っている
  • サイト経由で問い合わせや予約、注文が入る
  • 自分でサーバーやプラグインの更新をする自信がない
  • 万一サイトが止まったら事業に支障が出る

3つ以上当てはまるなら、保守を検討する価値があります。0か1つなら、最低限の管理を自分でやれば十分なケースが多いです。

「いらない」の落とし穴|放置するとどうなるか

保守を放置するとどうなるか

ここからは、保守を完全に手放したときに起こりうることを書きます。脅すためではなく、確率と影響で冷静に判断してほしいからです。

私自身、WordPressの更新を長く止めていたために、気づかないうちに乗っ取られていたサイトを見たことがあります。運営者は被害に気づいておらず、外から指摘されて初めて事態を知りました。悪意のあるコードが仕込まれていても、表向きは普段どおり表示されることがあるので、放置していると発覚が遅れます。

なぜWordPressで話が始まるのかというと、狙われやすいからです。W3Techsの調査(2025〜2026年)によると、WordPressは世界のWebサイトの約41.5%で使われています。日本語のサイトに限ると、CMSを使うサイトのうち約82〜83%がWordPressです。利用者が多い分だけ、攻撃する側にとっても効率のよい標的になります。

実際のデータもあります。Sucuriの「2023 Hacked Website & Malware Threat Report」では、マルウェア感染が確認されたサイトの95.5%がWordPressでした。そして感染したサイトのうち、CMSが最新版でなかった割合は39.1%にのぼりました。更新を止めることが、被害への入り口になりやすいと読み取れます。WordPress関連の脆弱性は、各社の年次レポートで年間8,000件から1万件超が報告されています(WordfenceやPatchstackなど)。

とくに危ないのが、担当者不在で放置された「野良サイト」です。Web担当者Forumでも、管理する人がいなくなったサイトが攻撃対象になりやすいと指摘されています。作ったきり誰も触っていないサイトは、更新も監視も止まっているので、格好の的になります。

セキュリティ以外にも落とし穴があります。SSL証明書が失効すると、ブラウザが「この接続は安全ではありません」と警告を出し、サイトが実質的に閲覧できなくなります。その状態では問い合わせフォームも機能しません。せっかくの見込み客を、入り口で取りこぼしてしまいます。

さらに、更新が止まったサイトは検索での評価も下がりやすい傾向があります。Googleのアルゴリズムの詳細は公開されていないので断定はできませんが、更新頻度が落ちたサイトは順位を保ちにくくなりがちです。結果として、検索から人が来なくなり、問い合わせが減っていきます。このあたりの構造はHPを作ったのに問い合わせが来ない理由でも詳しく書いているので、あわせて読んでみてください。

被害に遭ったときのコスト感も、頭の片隅に置いておくと判断しやすいです。IPAの「2024年度中小企業等実態調査」では、中小企業のサイバーインシデントによる被害額は平均73万円という結果が出ています。ただしこの数字は不正アクセス被害全般の平均であり、Webサイトの改ざんだけに絞った金額ではない点には注意してください。それでも、月々数千円から数万円の保守費用と比べたときに、放置のリスクがどれくらいの大きさなのかは見えてくると思います。

保守の中身を「自分でできる/プロに任せる」で分解する

保守を自分でできる作業とプロに任せる作業に分解

「できるだけ自分でやりたい」という人も多いと思います。その気持ちはよくわかるので、6項目を自分でできる範囲とプロに任せる範囲に仕分けしてみます。

まず、自分でも十分できることです。ドメインやサーバーの契約更新は、管理画面から手続きするだけなので難しくありません。文章の差し替えや画像の交換といった軽微なコンテンツ修正も、WordPressの操作に慣れれば自分でこなせます。

次に、知識と継続の覚悟が要ることです。WordPress本体やプラグインの更新は、ボタン一つで済むように見えて落とし穴があります。更新した瞬間にデザインが崩れたり、機能が動かなくなったりするリスクがあるからです。バックアップも、取るだけでは意味がなく、いざというときに本当に元へ戻せるか復元テストまでやって初めて安心できます。SSLの自動更新が正しく効いているかの確認も、地味ですが欠かせません。

最後に、プロに任せたほうがいいことです。サイトが止まったときの障害対応、改ざんされたあとの復旧、継続的なセキュリティ監視は、専門的な判断とスピードが求められます。ここを素人判断で進めると、かえって被害を広げてしまうことがあります。

一つ正直に添えておきます。「自分でできる」と言い切るのは、少し危ういです。最初の数か月はできても、忙しくなると更新は後回しになります。そして本当に困るのは、トラブルが起きた瞬間に「復元できない」と気づくときです。自分でやると決めるなら、続けられるか、戻せるか、この2点を冷静に見積もってから決めてください。

費用相場と「適正かどうか」の見分け方

保守費用の相場と良い保守の見分け方

保守費用の相場は、内容によって大きく変わります。月額の目安を4段階で整理します。

  • 〜5,000円:ドメイン・サーバー・SSLの維持が中心の、最小限のプラン
  • 5,000〜20,000円:基本的な更新や修正、簡単なサポートまで含むプラン
  • 20,000〜50,000円:更新頻度が高めで、SEO対策なども含むプラン
  • 50,000円〜:大規模サイトやコンサルティングまで含むプラン

この金額は、制作会社が公開している相場をもとにしています。実際には上振れすることもありますし、フリーランスに頼む場合は制作会社の3〜5割程度の金額になることもあります。ただしフリーランスの料金に限った統計データがあるわけではないので、あくまで目安として受け取ってください。

金額そのものより大事なのが、その保守が「良い保守」なのか「名ばかり保守」なのかの見分けです。毎月お金を払っているのに、何をしてくれているのかわからない契約は少なくありません。次の4点を、契約前や契約中にチェックしてみてください。

  • 契約書に保守の範囲がはっきり明記されているか
  • 作業ログや月次レポートで、何をしたのかが見える形になっているか
  • 範囲外の作業は別見積りになると明記されているか
  • 解約したいときの条件が明確になっているか

この4つが揃っていれば、少なくとも中身のわからないブラックボックスではありません。逆に、範囲もレポートもないまま定額だけ引き落とされているなら、一度中身を確認したほうがいいです。

私が考える「良い保守」は伴走すること

良い保守は伴走すること

ここからは、保守を提供する側の一人として、私自身の考えを書かせてください。私は、保守を技術的なメンテナンスだけの仕事だとは思っていません。

実際にやっていることを少し紹介します。メールアドレスの発行を代わりに設定したり、ホームページに直接関係のない経営や集客の相談の壁打ち相手になったりします。「こういう動画を作りたい」「記事を書ける人を探している」と相談されれば、自分がつながっている動画編集者やライターをおつなぎすることもあります。

私がやりたいのは、事業の集客において役立つ、痒いところに手が届く対応です。言いかえるなら、社外にいる「あなたのWeb担当者」のような存在でありたいと思っています。サイトを止めないだけでなく、事業が前に進むのを一緒に手伝う。そういう保守なら、月額を払う価値があると胸を張って言えます。

もちろん、これはあくまで私の考える理想の形です。すべての保守契約がこうあるべきだと押しつけるつもりはありません。ただ、保守を選ぶときの一つの基準として、頭の隅に置いてもらえるとうれしいです。

まとめ|「するか/しないか」でなく「誰が・どこまで・いくらで」

誰がどこまでいくらで保守するか

保守は必要か、という問いには、単純なイエスかノーでは答えられません。考えるべきは「するか、しないか」ではなく、「誰が、どこまで、いくらでやるか」です。

保守がいらないと判断できる人は、自分で最低限のことをやれば十分です。ドメインとサーバーの更新を切らさず、SaaS型ならそのまま使い続ければ、大きな問題は起きにくいです。

保守が必要な人は、料金の安さだけで選ばないでください。契約書に範囲が書かれているか、レポートで中身が見えるか、解約条件は明確か。この記事で紹介した見分け方を武器にして、信頼できる相手を選んでほしいです。

まずは、この記事のチェックリストで自己診断するところから始めてみてください。そのうえで判断に迷ったら、気軽に相談してもらえればと思います。私は保守を請け負う立場ですが、話を聞いたうえで「あなたのサイトなら保守は最低限で十分ですよ」と正直にお伝えすることもあります。

外注先で迷っているなら、フリーランスと制作会社、どっちに頼むべき?も参考になります。安さに惹かれているなら、その裏側を書いた格安HP制作の裏側にも目を通しておくと、後悔のない選択がしやすくなります。

この記事を書いた人

宮地 健太朗

Web制作・運用を中心に、
中小企業・個人事業主のWeb活用を支援しています。

現在は、東京のWebマーケティング会社にてエンジニアとして参画し、サイト制作・運用改善・業務効率化などを担当しています。

単なる制作にとどまらず、
「どうすれば使われ続けるか」「どう改善すれば成果につながるか」を重視し、実務に即した提案と実装を行っています。

専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明しながら、
一緒に考え、継続的に改善していくことを大切にしています。