フリーランスと制作会社、どっちに頼むべき?Web制作者が違いと選び方を正直に解説

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ホームページを作ろうと動き始めて、次にぶつかるのが「フリーランスの個人に頼むか、制作会社に頼むか」という壁ではないでしょうか。

先に自己紹介をしておきます。私はフリーランスのWebエンジニアとして、ホームページやLPの制作を請け負っています。つまり、この記事は「フリーランス側の人間」が書いています。

ですが、ここで正直にお伝えしておきたいことがあります。私はご相談をいただいたなかで、「この案件は、うちよりも制作会社さんにお願いしたほうがいいと思います」とお伝えして、お断りすることもあります。自分の売上より、その会社にとって何が正解かを優先したほうが、結局は信頼につながると考えているからです。

この記事は、そういう立場から書いています。だからフリーランスをすすめる内容にはしません。どちらが上か下かという話でもありません。

最初に結論の骨格だけお伝えします。フリーランスと制作会社の価格差は、品質そのものの差ではなく、価格に「含まれているもの」の差です。そして、どちらを選ぶべきかは、あなたの会社の状況と目的によって変わります。

なお、そもそも自分で作るか外注するかで迷っている段階の方は、先にホームページは自分で作る?プロに頼む?を読んでいただくと、この記事の判断がしやすくなります。

そもそも何が構造的に違うのか

フリーランスと制作会社は構造的に何が違うのか

フリーランスと制作会社で見積もりを取ると、同じような内容でも金額が大きく変わって驚くことがあります。この差はどこから生まれているのでしょうか。

答えの中心は、コスト構造の違いにあります。

制作会社には、フリーランスにはかからない間接コストが乗っています。オフィスの家賃があります。ディレクター、デザイナー、コーダー、営業といった複数人の人件費があります。その人たちを管理し、進行を回すための管理費もあります。

これらは制作物の質とは別に、組織を維持するためにどうしても必要な費用です。だから制作会社の見積もりには、あなたのサイトそのものにかかる費用に加えて、その組織を支えるコストが上乗せされます。

一方でフリーランスは、多くの場合ひとりか少人数で動いています。オフィスを持たず、管理部門もありません。だから同じ作業でも、価格に乗る間接コストが小さくて済みます。

ここで、当事者だからこそお伝えできる実態を一つ書いておきます。制作会社が受注した案件のコーディングやデザインの一部を、フリーランスに外注しているケースは珍しくありません。いわゆる下請け構造です。

つまり、あなたが制作会社に払った金額の一部が、その先にいるフリーランスの手に渡り、実際の手を動かしているのがフリーランスだったという状況は、業界のなかで普通に起きています。

これは制作会社が悪いという話ではありません。制作会社は窓口として、要件整理や品質管理、進行管理という価値を提供しています。ただ、価格差のすべてが「手を動かす人の腕の差」ではないという事実は、知っておいて損はありません。

費用相場で比較する【依頼先別】

ホームページ制作の費用相場を依頼先別に比較

具体的な相場を見ていきます。金額には幅があるので、あくまで目安として捉えてください。

依頼先費用相場の目安特徴
フリーランス10〜50万円LPは〜15万円、コーポレートサイトは15〜50万円が目安
制作会社50〜300万円標準的な構成なら100万円前後が一つの目安
クラウドソーシング参考値として数万〜20万円程度一次統計がなく、価格の幅も品質のばらつきも大きい

フリーランスの相場は10〜50万円程度で、LPであれば15万円前後、コーポレートサイトなら15〜50万円あたりが一つの目安になります。制作会社は50〜300万円と幅が広く、標準的な構成であれば100万円前後が一つの目安とされることが多いです。(出典:STUDIO「ホームページ作成費用の相場【2026年最新版】」、あきばれホームページ「作成費用の相場と選び方【2026年版】」ほか)

クラウドソーシングについては、信頼できる一次統計が見当たりません。そのため、ここでは参考値として数万円から20万円程度と書くにとどめ、断定は避けます。安く発注できる反面、品質や対応の幅が読みにくいという性質があります。

もう一つ、大事な視点があります。初期費用だけでなく、5年といった長い期間のトータルで見ることです。

初期制作費に公開後の保守まで加えて試算すると、フリーランス型で40〜90万円程度、制作会社型で100〜280万円程度という例が示されています。(出典:お名前.comコラム。前提条件によって幅があり、案件ごとに変動する試算です)

サイトは作って終わりではありません。公開後の更新や保守が数年続きます。だから初期の見積もり金額だけで比べると、判断を誤ることがあります。

7つの判断軸で見極める

7つの判断軸でフリーランスと制作会社を見極める

では、あなたの会社はどちらを選ぶべきでしょうか。私が相談を受けるときに実際に確認している7つの軸で整理します。

判断軸フリーランスが向く傾向制作会社が向く傾向
費用感予算に上限がある予算に余裕がある
実績・信頼の重視度ある程度で許容できる組織的な実績を重視する
案件規模・複雑度小〜中規模でシンプル大規模・複雑・システム連携あり
スピード・柔軟性早さと小回りを求める段取りと工程管理を求める
体制リスクの許容度ある程度受け入れられる担当が飛ぶと困る
コミュニケーション距離作り手と直接話したい窓口を通した進行がよい
保守の継続性都度対応でよい長期の体制保証が必要

費用感は、予算に上限があるならフリーランス、余裕があって選択肢を広げたいなら制作会社という見方ができます。

実績と信頼をどこまで重視するかも大きな分かれ目です。制作会社は会社としての実績と、複数人でチェックする体制を持っています。

案件の規模と複雑度も見ます。シンプルなサイトならフリーランスで十分に対応できますが、多くの部署が関わったり外部システムと連携したりする案件は、組織で動く制作会社のほうが安心です。

スピードと柔軟性は、フリーランスの得意分野です。間に人が入らないぶん、「ここだけ直したい」といった小さな相談への反応が早い傾向があります。

体制リスクの許容度は、あとで詳しく触れます。担当者が一人という状況をどこまで受け入れられるかという話です。

コミュニケーションの距離感も相性に関わります。作り手と直接やり取りしたいならフリーランス、窓口を通した進行が合うなら制作会社です。

保守の継続性は、長く付き合うことを前提に考える軸です。

どちらに向いているか

フリーランスと制作会社どちらに向いているか

7つの軸をふまえて、どういう会社がどちらに向いているのかを整理します。

フリーランスが向いているケース

次のような場合は、フリーランスへの依頼が合いやすいです。

  • 予算に上限があり、そのなかで質の高いものを作りたい
  • コストパフォーマンスを最優先に考えたい
  • LPや、それほど複雑でないコーポレートサイトを作りたい
  • 作り手との距離の近さを大事にしたい
  • まずは初期制作をしっかり作りたい

フリーランスは、限られた予算のなかで実物を作ることに強みがあります。作り手と直接話せるので、意図が伝わりやすく、修正のやり取りも速く回ります。

フリーランスに頼む場合の具体的な利点と注意点は、フリーランスにHP制作を頼むメリット・デメリットを整理した記事にまとめています。あわせて読んでいただくと、判断の解像度が上がります。

制作会社が向いているケース

ここが、この記事でいちばん正直に書きたい部分です。

私はフリーランスですが、次のような案件は「制作会社さんにお願いしたほうがいい」とお伝えすることがあります。

まず、予算がしっかり確保できることが前提にある場合です。制作会社の価格帯を払える余力があるなら、選べる選択肢が広がります。

次に、実績と信頼をかなり重視する場合です。「この会社に任せて大丈夫か」という安心感を何より優先するなら、組織としての実績があり、複数人でチェックが回る制作会社のほうが向いています。一人のフリーランスに大きな判断を委ねるより、会社という後ろ盾があるほうが、社内で意思決定を通しやすい場面もあります。

そして、規模が大きく複雑な案件です。多くの部署が関わる、外部システムと連携する、といった案件は、進行を管理する専任の人がいる制作会社が適しています。

担当が飛ぶと事業に大きな支障が出る重要な案件や、長期の保守を体制として保証してほしい案件も、制作会社向きです。

このあたりの案件は、私は「これはうちではなく、制作会社さんへ」と正直にお伝えします。自分で全部受けたほうが売上にはなりますが、お客さまにとっての正解を優先したほうが、長い目で見て信頼が残ると考えているからです。

「個人に飛ばれたら?」にどう備えるか

個人に飛ばれたときにどう備えるか

フリーランスへの依頼で、多くの方がいちばん不安に感じるのがこの点だと思います。「途中で連絡が取れなくなったらどうしよう」という不安です。

正直にお伝えすると、この不安には正当な根拠があります。フリーランスは一人で動いているので、その人が対応をやめたら、そこで止まってしまうリスクがあります。

まず前提として、フリーランスのWeb制作者に限定した連絡途絶率や廃業率の公的統計は、見当たりません。だから「何割が飛ぶ」といった数字で語ることはできません。ここでは確率の話ではなく、備えの話をします。

さらに怖いのは、連絡が途絶えるだけでなく、サイトの資産を握られてしまうケースです。ドメインやサーバーの契約が相手の名義になっていると、自社のサイトなのに自分で動かせないという事態が起こり得ます。(この構造的なリスクは格安HP制作の裏側でも詳しく触れています)

だからこそ、発注する前に次の点を確認してください。

  • ドメインとサーバーは、必ず自社(あなた)の名義で契約する。制作者が代行して取得する場合でも、名義は自社にできます。ここを相手任せにしないことが、最大の防御になります
  • ソースコードの所有権を確認する。納品後、そのコードを自由に使えるのか、他社に引き継げるのかを書面で確かめます
  • 保守や更新の条件を書面化する。何をどこまで、いくらで対応してもらえるのかを、口約束でなく残します
  • 実績と、今きちんと稼働しているかを確認する。過去の制作物だけでなく、そのサイトが現在も動いているか、連絡が取れる状態かを見ます

これらを発注前にそろえておけば、仮に相手との関係が切れても、サイトという資産は自社の手元に残ります。不安の正体は「資産を人質に取られること」なので、資産さえ自分で握っておけば、不安の大部分は消えます。

フリーランスの「当たり外れ」の見分け方

フリーランスの当たり外れの見分け方

フリーランスは個人差が大きい世界です。だから「良いフリーランスかどうか」を見抜く目があると、失敗をかなり減らせます。発注前に見るべきポイントを、作り手側の視点でお伝えします。

まず、ポートフォリオの見方です。きれいな完成画像がずらりと並んでいても、それだけでは判断材料になりません。見てほしいのは、自分が作りたいものと近いジャンルの実績があるか、という点です。飲食店のサイトを作りたいのに、実績がすべて派手なアート系だと、方向性が合わないことがあります。可能なら、その実績サイトが今も公開されて動いているかも確認してください。

次に、見積もりの明細の読み方です。「ホームページ制作一式 30万円」とだけ書かれた見積もりは、注意が必要です。何にいくらかかっているのかが分からないと、あとで追加費用が発生したときに判断できません。ページ数、デザイン費、コーディング費、保守費などが分けて書かれている見積もりは、それだけで誠実さの一つの目安になります。

そして、最初のやり取りです。ここに、その人の仕事の質がかなり出ます。返信が極端に遅かったり、要領を得なかったりする相手は、制作が始まってからも同じ調子になりがちです。逆に、こちらの要望を丁寧にヒアリングし、「なぜそれを作りたいのか」まで踏み込んで聞いてくれる相手は、目的からずれないサイトを作ってくれる可能性が高いです。

見た目の華やかさより、こうした地味なやり取りのほうが、実は当たり外れをよく映します。

まとめ|「予算」より「目的」で選ぶ

予算より目的で選ぶ

ここまでを、状況別に整理します。

予算に上限があり、LPやシンプルなコーポレートサイトを、作り手と近い距離で作りたいなら、フリーランスが向いています。

予算に余裕があり、実績と信頼を強く重視するなら、あるいは大規模で複雑な案件や、長期の保守を体制で保証してほしいなら、制作会社が向いています。

そして最後に、いちばんお伝えしたいことを書きます。依頼先を「予算」だけで決めないでください。

参考になるデータがあります。クーミル株式会社が2026年2月に実施した「ホームページリニューアルに関する実態調査」(有効回答312名、同年4月公開、Web担当者Forum 2026年4月1日掲載)では、リニューアル後の後悔のTOP3として、1位にSEO設計の不足、2位に制作会社選び、3位に戦略設計の不足が挙げられています。

注目してほしいのは、後悔の2位が「制作会社選び」だったことです。つまり、多くの人が「どこに頼むか」の判断で後悔しています。そして1位と3位は、価格の問題ではなく、SEOや戦略という「目的」に関わる部分です。

価格が気になるのは自然なことです。ですが、後悔の中身を見ると、安さそのものより「目的に合っていたか」が満足を左右しているように見えます。

だから、最初に決めるべきは「いくらまで出せるか」ではありません。「このサイトで何を達成したいのか」です。問い合わせを増やしたいのか、採用を強くしたいのか、信頼感を示したいのか。目的が定まれば、フリーランスと制作会社のどちらが近道かは、自然と見えてきます。

もし今の段階で目的が固まりきっていなくても、まったく問題ありません。私は相談をいただいたとき、「その目的なら、今はまだ作らないほうがいいですよ」とお伝えすることもあります。作ることをゴールにせず、あなたの事業にとって何が得かを一緒に考えるスタンスです。

依頼先で迷っていたら、気軽にご相談ください。フリーランスとして受けるべきか、制作会社をおすすめすべきかも含めて、正直にお答えします。

この記事を書いた人

宮地 健太朗

Web制作・運用を中心に、
中小企業・個人事業主のWeb活用を支援しています。

現在は、東京のWebマーケティング会社にてエンジニアとして参画し、サイト制作・運用改善・業務効率化などを担当しています。

単なる制作にとどまらず、
「どうすれば使われ続けるか」「どう改善すれば成果につながるか」を重視し、実務に即した提案と実装を行っています。

専門的な内容も、できるだけわかりやすく説明しながら、
一緒に考え、継続的に改善していくことを大切にしています。